56 熱狂的な仲間 のクリスマス会
私は、劇場に所属する、ワークショップのファシリテーターとして活動をはじめた。立ち上がったばかりの事業を盛り上げるために、制作の日々がはじまった。メンバーは六人。みんなそれぞれ、個性的で好奇心が旺盛だった。まだ制作側も、私たちも、手探りの状態だった。お稽古の大半をおしゃべりに費やして、一日があっという間に過ぎてしまう日もあった。今思えば、贅沢な時間の使い方だったと思う。一緒に色々なところに出かけて、制作のアイデアを集めた。ことあるごとに集まって、一緒に時間を過ごした。特に、クリスマスパーティーは、よい思い出だ。
歌ったり踊ったりできるように、スタジオを借りてパーティーをした。仮装したり、クリスマスプレゼントの交換をした。大学生時代に、皆無だった、青春を取り戻している気がした。思いつきでなんでもやってみるのが楽しかった。夜も遅くなっているのに、動画を撮ろうと、日比谷公園で、ワイワイと動画を撮った。こうやって、ダラダラと時間を使って、仲間と遊べたのは、この時期だけ。熱狂的な仲間のおかげで、アイデアとやる気に満ち溢れていていた。今は本番も多いし、みんな忙しくなった。整っていなかったからこそ、色々試行錯誤しながら、自分たちが主体的に関わることのできる場所だったと思う。
これまでは、王道とは違うしかたで、メインストリームではなく、B面的な世界観を、走っていたように思う。B面もいつしか、認知されるようになって、A面に浮上してきた。整った分だけ、遊べる余地がなくなってしまったことは、残念に思うが、それだけ、色々な人に支えられて、メインストリームのA面に浮上できた。
組織も変わるし、私も変わる。たまたま私は、そこに居合わせて、そこにほんの少し関わっただけ。そう思って、折角、みんなに愛されるA面になったのだから、そのことを素直に喜びたい。でも、私は、メインストリームのA面をやりたいわけではない。また、新たなB面を探している。