1回目のホテル
ホテルでは、2人とも緊張していた。
私には彼が緊張しているように見えなかったけれど、自分で「俺も緊張してる」と言っていた。
平日午後のテレビからは、政治関連のワイドショー番組が流れたまま。
キスをするまでに、けっこうな時間を要した。
彼は意外と受け身なタイプなんだな。
それでも、自分からキスしてくれた。
その後、一緒にシャワー、ベッドへ。
バスルームやベッドで、どのように触ってもらったかについては、秘密にしておきたい。
ベッドに行くと、私がどうしたいかを聞いてくれて、そのとおりのことをしてくれた。
彼は自分は後回しで、私が感じることに重点を置いてくれる。
ホテルに行く前から、そうするとは聞いていたけど、本当だった。
なんでそこまで、もっと自分勝手でいいのに、と思うぐらい。
かなり恥ずかしかったけれど、やめてくれることはなく、完全に私の負け。
言うつもりがなかったのに「好き」と言ってしまった。
彼は「好きになっていいよ」と。
好き、とは返してくれなかった。
どこまでも嘘がない人。
この1回目のホテルの後は、恋愛感情が出てきて困った。
6日目には「会いたいです」とLINEしてしまった。
彼は、時間を作って会ってくれて、しかも私がまたホテルに行きたいのかと思っていた。
私はそんなつもりではなく、時間もあまりなかったので、カラオケを希望した。
私は会ってキスや手つなぎだけでもいいのに、カラオケの部屋でキスしてほしいとはどうしても言えなかった。
だから、指一本触れあうことなく、楽しくカラオケをして過ごした。
ちなみに彼は歌がかなり上手で、キーが合えば、リクエストした曲を歌ってくれる。
健全なカラオケのおかげで、本当にこの人には恋愛する気がないんだ、と実感。
私の恋愛感情も再び落ち着いてくれた。
次にホテルに行く日は2人で決めていたから、その日を楽しみにしよう、と切り替えることに成功。
でも、前もって関係を持っても冷静さを保つ覚悟はあるのかと聞かれていたのに、それができなかったことは気になった。
彼に私が「会いたい」と言い出したことは大丈夫か聞くと「ぜんぜん大丈夫」とのこと。
彼は、仕事中も電話してきたり、職場のそばで待っていたりされるのが困るだけで、会いたくなったらLINEをくれれば、会える時は会うとのことだった。
恋愛をする気がない彼と、時おり恋愛感情が出てきてしまう私では、どうしても気持ちに差が出る。
私は恋する気持ちで会いたいのに、彼からは「またしたくなったの」と思われてしまう。
それでも、急な会いたいLINEを許容してもらえるなら、この関係は続けていけそう、と感じた。
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