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【EMLink活用レポート#4】シンプルさはアドバンテージ。ネームバリューに優るEMLinkの魅力とは

保全システムの導入を検討する際、まずネームバリューのある大手企業のシステムから検討する工場は多いだろう。しかし、大手のシステムと比較した上でEMLinkを選択する企業も少なくない。今回ご紹介する大内新興化学工業株式会社 須賀川工場もそんなエピソードを持つ工場の1つだ。EMLinkの魅力と今後への期待について、大内新興化学工業の大塚 裕昭氏(取締役工場長)、遠藤 慎氏(生産部部長)、面川 篤史氏(生産部工務課課長)に聞いた。

必要な機能を低コストで。使いやすいシンプルさが魅力

左から面川氏、遠藤氏、大塚氏

大内新興化学工業株式会社は、日本で初めて有機ゴム薬品の国産化を実現した歴史ある企業だ。現在は有機ゴム薬品のほか、医薬品原薬、果樹用抗菌剤、環境薬剤の製造・販売を行なっている。これらの製造を担っているのが福島県にある須賀川工場と原町工場なのだが、須賀川工場では設備の老朽化に悩まされるようになっていたと大塚氏は語る。

「須賀川工場では設備トラブルに対し迅速な事後保全で対応してきたのですが、数年前からトラブルの数が増え始めたため対策を考えてきました。設備トラブルを原因とした工程異常が頻繁に起こるようになれば事後保全では対応しきれなくなり、お客様にご迷惑をかけてしまいます。そこで予防保全を充実させるため、保全システムを導入することにしたのです」(大塚氏)

実は須賀川工場では予防保全への切り替えにあたり、まずはExcelの設備台帳などを利用した管理から始めていたが、Excelの設備台帳では記録漏れやフォーマットを変更してしまうなどのトラブルが発生してしまった。そこで大塚氏らは「予防保全を実現するためには、保全に関連する色々な業務を一元管理できるシステムが必要」と考え、保全システムの導入を決めたという。そこで大手企業が提供する保全システムの調査をしたのだが、大塚氏らは導入を見送ったという。なぜなら大手のシステムは“充実しすぎていた”からだ

「工場の設備管理では作業者が五感で感じる“違和感”が重要です。そうして感じたことを他の従業員や部門に伝えていき解消していくのですが、その際にグループや部署の垣根を超えたコミュニケーションが生まれます。我々が保全活動に対して期待する狙いの1つは、そうしたコミュニケーションが起こす化学反応により会社全体を活性化させることなのです。そのため、とても細かいデータやプロセスまで完全に管理できるというシステムに若干の抵抗を感じました。機械的に管理しすぎてしまうことで、コミュニケーションの機会が失われることが想像できてしまったからです」(遠藤氏)

大手のシステムはカスタマイズ性が高く非常に多機能なシステムでしたが、それゆえに複雑に感じてしまったのです。今、我々が予防保全のためにすべきことを考えると、必要以上の機能が多いと感じました。「何でもできる」機能が幅広く揃っていると、一からシステムを構築するため時間もコストもかかります。限られた予算内で予防保全にどれだけの時間と予算をかけるのかを考えた結果、なるべく早くスタートできるシンプルなシステムが良いのではないかという結論に至りました。そこで出会ったのがEMLinkでした」(大塚氏)

大手システムに機能の過剰さを感じたと話す大塚氏だが、一方でEMLinkについては「シンプルさがアドバンテージになっている」と評価した。豊富な機能は一見魅力的だが、その全てが本当に必要なわけではない。限られた予算の中で求める成果が明確に決まっている場合には、必要十分な機能が低コストで利用できて、現場にも分かりやすいシステムが良い。大塚氏も「EMLinkのお話を聞いてみて、使いやすくリーズナブルだと感じました。その辺りが我々によくマッチしたのだと思います」と、EMLinkを導入した理由を語った。

保全履歴を溜めるだけではない。一元管理で予算と間接時間の無駄削減にも期待

大内新興化学工業が保全システムを導入した大きな狙いの1つは、溜まったデータを保全業務以外にも活用できるようにすることだ。その狙いを実現するためには、様々な部署の従業員もEMLinkを使えるようになる必要がある。須賀川工場では手始めに、製造部から保全部に提出する修理依頼伝票を、製造部の現場作業員がEMLinkで入力するところからはじめたという。「例えば製造側と保全側とでは機械の呼び方一つにも違いがあります。そういった製造・保全間の認識の違いをなくして円滑なコミュニケーションを図っていくという意味でも、EMLinkによるデータの一元管理は役立つと思っています。将来的には、現場の誰もが入力できるように展開していきたいです」と、面川氏は現場でのEMLinkの活用に意欲的だ。

現在はデータを蓄積していく段階ではあるが、今後のEMLinkに期待されているのが予算面での活用だという。「設備投資や修理に関し、“どれくらいの予算をみればいいですか?”と聞かれることがよくあります。これまでの設備の導入や補修費用のデータはあるので、そういった情報もEMLinkにまとめることで将来のメンテナンスや設備投資の見積もりに利用していきたいと考えています」と、遠藤氏は予算の策定にEMLinkを活用する意向を話した。大内新興化学工業では原則2ヶ月に一度、予算審議の打ち合わせを行っている。これは事前に計画された内容に基づいて行われるが、突発的に審議が必要となる場面もある。そのような定期的・突発的な審議の両方で、EMLinkを使えば予算の予測がより簡単にできるのではないかと期待されているようだ。

また、予測だけでなく無駄な購買の予防にも期待が向けられている。「予防保全の観点から部品を寿命ギリギリまで使用するわけにはいきませんが、経営効率の観点では、必要以上に早く交換してしまうこともできるだけ避けなければいけません。EMLinkにデータが蓄積されていけば、各部品や設備をどのくらいのインターバルで交換すべきかの予測ができるようになると期待しています」と話す大塚氏。同じ部品を複数の現場で過剰にストックしてしまうという事態も、EMLinkでデータを一元管理すれば防ぐことができると期待されている。無駄の削減は設備や部品だけでなく、時間にも言えることだ。間接時間の増加は予防保全を取り入れる上でネックになりがちな問題だが、間接時間の削減にも積極的に取り組んでいる須賀川工場では、EMLink導入でどれだけ削減できるかにも大きな関心を寄せている。

老朽化で苦境に立たされる化学業界の救いの一手に

須賀川工場は設備の老朽化を受けて予防保全へと切り替えたが、これは大内新興化学工業に限った話ではなく、化学業界全体で起きている問題だと大塚氏は話す。化学業界では高度経済成長期時代に大規模な設備を続々と作ってきたのだが、その時期に作られた設備が、今まさに転換点を迎えようとしているのだ。日本を代表するような大企業においてさえ工場の設備が壊れる事象は発生しており、大事故や火災につながりかねない危険な状況を化学業界は抱えていると言える。

「老朽化した設備を新しくしていく必要がありますが、どの企業も設備更新にかかる費用を製品単価に反映できていないのではないでしょうか。本来なら設備更新にかかる費用もコストとして追加すべきなのですが、海外の安い製品が増えてきている中での値上げにためらっている国内企業は多いと思います。人件費の上昇も鑑みると、日本がこれから海外製品と戦っていくためにはEMLinkなどのシステムを利用しながら、効率化に向けた自動化を進めていかなければならないと思っています」(大塚氏)

加えて問題なのが人手不足だと大塚氏は語る。他業界や東京の会社に人材が流れてしまいやすいという課題を抱える中で、大内新興化学工業では工場見学を実施したりSDGsへの取り組みをアピールしたりと、若い世代の人材確保に積極的に取り組んでいるという。

「システム投資は人材確保のためにも大切な要素だと考えています。働きやすさということもありますが、現場の安全面を考えるとやはり自動化を進めていかなければと思っています。安全はタダでは買えませんからね」(大塚氏)

設備の老朽化は化学業界の競争力強化と安全を脅かす重大な問題だ。これらを解消する1つの手段として、EMLinkには様々な企業から期待が寄せられている。化学業界の未来を守るべく、EMLinkは今後も様々な機能開発を進めていく。

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