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ストーカー被害の話⑤

おじさんはその日に逮捕された。


その日のことはよく覚えてないのだけれど
私の方もそれからの1ヶ月ほどはかなり大変だった。

まずは警察署に呼ばれて
検事さんとの話し合いのような場が設けられた。

…と思う。
というのも記憶が曖昧で
もしかすると時系列があやふやかも知れないが。


警察署では検事さんに、今までに何があったか
事細かにヒヤリングされた。
私の担当は割とご年配の棋士の加藤一二三さんに良く似たお爺さんでそこに若い男の人が1人。

取り調べ室の様な部屋で
『今までにあったことを順番に教えて下さいね』
という感じで
何かが書かれている書類を基に
それはもう事細かに詳細を聞かれた。

なんかキムタクのドラマで見てた感じと違う…

と思いつつ、検事さんは優しい人だったので
特に嫌な想いもしなかった。

また検事さんは犯人(おじさん)の事も教えてくれ

実はおじさんには覚醒剤取締法での前科が
数多くあったこと。

おじさんは手の指が1本ないので
心配かもしれないが、反社の人ではなく
工場の事故で指を飛ばしたということ。

おじさんが逮捕された時に
「あの子も覚醒剤をやっている」
「目を見れば分かる」
「だから仲良く出来ると思った」と供述している
ということ…などであったが

『まぁでもあなたは覚醒剤なんてやってないと思うから、尿検査はしないでおくね〜』
わはははー

と笑いながら言ってくれた。

これは検察官ジョークなのか?

とにかくハタチそこそこの私は
苦笑いするしかなかった。

またおじさんが
今から裁判でどんな刑罰になるのか?
その後の刑務所での様子や、いつ出所するのか?
といった情報を
被害者である私に通知する制度があるようで

『怖い思いをして知りたくないかも知れないけれど
これからの為に利用してはどう?』

と言われ、それもそうだと利用した為
その後何年かに渡って

・今おじさんは〇〇刑務所にいます
・刑務所での態度は良好です
・〇〇年〇〇月に出所予定です

というおじさん通信が定例で届くようになった。

その後も何度か警察署に出向く事になるのだけれど
コワモテのおじさんや優しそうなお姉さんが
「大変だったね」
「つらいことはない?」
「もうあの人は逮捕したから、安心して」
と心配してくれてかなり心強かった。

ただここからまだまだ
被害者というのは忙しいのである。

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