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土曜日の朝

朝起きると、いつも犬のめいこが遅れてリビングへやってくる。いつもはわたしに抱き着き、おやつをもらうとすぐ寝室に戻っていくのだけれど、今日はわたしに抱き着いたあと「ここにいるね」という感じでクッションの上にちょこんとまるくなった。昨日は少し落ち込むことがあって、それを察したのかどうかはわからないけれど、ただ横にいるめいこ。

「さんぽにでも行こうか」

めいことふたりで朝のさんぽへ出かけた。土曜日の朝は、静かで、ゆったりしている。住宅街を歩くと、庭の掃きそうじをしている人や、ベランダで洗濯物を干している人。小さな子どもが走ってきて、ある家に向かって外から「ばあばー!」と呼んだ。すると「あら~」とおばあちゃんらしき人が窓を開けて応えた。

人や動物の生活の営みを、ほどよい距離感で感じるのが好きだ。土曜の朝は、特にそれを感じられる気がする。どこかから漂う味噌汁のにおい、電子レンジが鳴る音、鳥がピピピピ…と鳴く音。

めいこは雨上がりのさんぽ道の匂いを嗅ぎながら、ぴょこぴょこ楽しそうに歩いている。

いつも公園で合う白猫がいて、「しろ」と呼んでいる。しろは今日もいて、突撃しようとするめいこを止めながら「おはよう」と声を掛けた。おそらくしろはおばあちゃん猫で、動きが遅く、いつも公園のどこかで寝そべっている。すっかり顔見知りの仲だ。そしていつものように、めいこがどれだけ騒いでも微動だにせずどっしりと構えている。公園の主なのかもしれない。

広い公園に人は少なく、数組犬の散歩や子連れの家族がいるだけ。公園を抜け、家に向かう。お腹が空いた。家に着いたら朝ごはんを食べよう。

今日もいろんな場所で、それぞれの一日が始まっている。


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