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349.新月の朝 ヒツキアメツチファーム ~土を触って、自分に帰る道を探す~

◆土に触れる(土の上と下)
 
ヒツキアメツチファームが生れた経緯と、大橋和さんの想いを読ませていただいたとき、モーリーン・マードック氏の著書『ヒロインの旅』第六章の中の、
 
「~ただ土を触って、自分に帰る道を探しています」
 
という、ある女性のセリフが、フラッシュバックした。
 
そして、光と闇、地上と冥界、女性性と男性性、潜在意識と顕在意識…… これらの関係性を、土の上と下が表していることに気づく。
 
(土の上に見えているものと、土の中に隠れて見えないものは、一体)
(繋がっている)
 
種が育つのは土の中であり、その中で機が満ち、十分に根を伸ばしてから、土の上に芽が出て、伸びていく。
土の上の生長は、土の中の根の生長に支えられ、根の生長は、土の上の生長に支えられる。
 
(根は水や養分を。土の上の葉は、太陽の光を)
 
大橋和さんの「Woman」というワークショップで、
 
〈扉を開け、そこに広がる土地の姿をみて、必要だと感じることをして、自分のガーデンを手入れしていく〉
 
というイメージワークをしたことが、蘇る。
 
植物の生長は、女性の旅のサイクルに似ている。
乙女。母。老婆。
芽吹き、生長し、開花し、結実し、落果し、土に還る。
 
土に触れることは、その旅を体感すること。
自然、見えない世界への畏敬と感謝を体感すること。
 
そんなことが思い浮かんだ。
 
◆土を耕す

ヒツキアメツチファームを、初めて訪れたのは、冬至の翌日。山羊座の新月の日。
一気に冷え込んだ大地は、冷たく澄みきった空気の中、風が吹き、氷が張り、遠くの空には雪雲まで浮かんでいる。
 
畑もガーデニングもしたことがなく、何をどうしていいか、道具の名前も使い方も知らない私に、片手で使える小さな鋤を貸してくれて、土を掘り起こし、「耕す」ことをさせてもらった。
 
ひとめ見た瞬間、土の色が黒く、しっとりときめ細かく、しかもふっくらして、きらきらして、滋養に満ちているのが感じられた。
 
教えてもらったように、てこの原理を使って、先がフォークのようになった鋤を土に投じると、なんの力も入れていないのに、驚くほど深く入って、土が掘り返されることに驚く。
 
しかも、気温も低く、太陽の光が雲で遮られているので、掘り起こした土は乾くこともなく、いっそう黒々と、しっとり濡れて、潤ったまま光っている。
その美しさ。
 
固まった土に空気が入り、光が入り、ふわふわに重なっていく。
その豊かさ。
 
壱岐の島に滞在している和さんと、zoomが繋がって、お言葉をいただいた。
大地は、凍り、溶けることを繰り返して、春に向けて、種を抱く準備をしていくと。
それは、自分のガーデンにおいても、同じだとわかる。
 
「Woman」のワークショップのイメージワークで観たガーデンの手入れを、すっかり忘れていた。
鍬が土の中に入ると、魔法のように、固められたものが掘り返され、ほどけてふくらんで、光の中に出てくる。
 
この土は、貸農園となる前は、ずっとお米を作っていたとのこと。
 
田んぼの土は、それはそれは深いところまで耕され、夾雑物をとりのぞき、整えられることを、以前、子どもたちと参加した自然倶楽部で教えてもらったことがある。
 
土には、農家のかたの愛と祈りが浸透している。
 
しゃがんで、土にふれていると、からだに力がチャージされている感覚がある。
残っていたハーブの葉や、ねぎなどをいただき、ファームにお礼を言って、別れを告げると、ずっと雲に覆われていた太陽が顔を出し、青空が広がっている。

風は、ものすごく冷たいのに、心が澄み渡って、すがすがしくてたまらない。
なにもかもが美しくみえる。
 
ふと見ると、となりの区画に、りっぱな葉牡丹が並んでいて、太陽の光を浴びて輝いていて、どれひとつ同じではない、その繊細さとグラデーションから、目が離せなくなる。


ちょうど、作っていらっしゃるかたが、お正月の門松用に収穫されているところで、お話することができた。
「どれがいいと思うか」と尋ねてくださり、中に入ってよく見ていい、写真を撮ってもいいと言ってくださったので、近くで見せていただく。

(こんなに美しく、生命力にみち、輝いている葉牡丹は初めて)
 
えんどう豆も、防寒のわらに包まれて、まっすぐに並んでいる。


夜が一番長くなる冬至点を過ぎ、太陽の時間が少しずつ長くなっていく。
そのはじまりの日に、ファームの土に触れられたことに、心からの感謝を。
 
◆直会のように

終わってから、ご一緒したみなさんとのランチタイムは、ご神事のあとの直来のようだと感じる。
ファームから、おさがりでいただいたものは、みえるものも、みえないものもある。
一緒にごはんを食べると、わかちあえ、つながりが深まるのは、いつの時代も、どこの民族も同じ。

エジプシャンオイルのバイブレーションを感じたり、フラワーエッセンスの波動を享受したり、たった一滴で、何も言葉で説明しなくても、それぞれがそれぞれのドリームボディと対話する神聖な時間が訪れる。
 
そんな空間と時間に自分がいることのミラクルと幸福。
 
みなさんと別れて帰宅してからも、体験したひとつひとつがかけがえないもので、その感慨が大きくて、そのままでいたくて、ただじっと感じていたくて、あたためていたくて、波動をこわさずにいたい気持ちが続いている。

ありがとうございます。
来年も、またお会いできることに心からの愛と感謝を。
 
(土に触って、自分に帰る道を探す)
 
浜田えみな
 
 


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