終わらせよう
学生生活最後の夏休み。もう2週間が過ぎた。
夏休み前まで、鬱と不安障害を徐々に克服しながらも、依然として何もできないまま過ごしていた私だったけれど、夏休み直前にこの日々を終わらせる決意をした。
ゼミの先生の「卒業はできるから、頑張ろう」という一言が、私を後押ししてくれた。
卒業するために卒論を書き始めて、卒業後の自分のために就活を始めた。
しばらく何もやってこなかった私にとって、卒論のために文献を読んだり長い文章を書いたりすることも、就活のために自己分析をしたり企業について調べたりすることも、決して容易ではなかった。
けれど、ここで何もできなかった自分に終止符を打って苦しんだ日々を終わらせたい、リセットさせたい、その一心だった。
前期の成績をつけてもらうためになんとか卒論は出せて、後期の自分に卒業のためのバトンを渡せそうだ。
就活も3社最終選考に進むことができて、もう少し頑張れば終わらせられそうだ。
卒業と就職。人生の中でも大きな節目となる2つの目処がたった今、私は実家に戻る決断をした。
精神的につらくなり始めた時からなんとなく実家に帰ることは考えていたけれど、卒業と就職の目処がたったこと、大学のオンライン授業が続きそうなこと、生活費がもったいないこと、いろんなことが私に一人暮らしをやめる決断をさせた。
そして、実家に帰ることは、彼氏へのささやかな反抗でもある。
9月末、彼は転勤する。遠距離になったら付き合い続けるつもりはない彼。遠距離でも付き合い続けたい私。
私には彼の心を変えることはできないとわかっているから、最初から分かっていた彼の転勤ではなく、突然決まった私の引っ越しで私から終わらせよう。
そうでないと、私はいつまでも引きずってしまいそうだから。
付き合って2ヶ月。お互い忙しくて時間が合わず、数えられるほどしか会えていないし、カップルらしいことはほとんど何もできていない。
悲しいけれど、これまでの恋愛の中で一番心の距離を感じてしまうような恋愛だ。
だけど、私は彼が好きだし、きっと彼よりも私の方が好きだ。だから、私が自分の手で終止符を打ちたい。
彼に実家に戻ることを伝えたらどんな反応が返ってくるのか、容易に想像がつく。
「そっかあ。じゃあもう会えなくなっちゃうね。」
いつもの涼しい顔で、平気そうにそう言うのだろう。
もっと一緒にいたかったのにな。
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