見出し画像

時間は合わせるもの


なかなか時間が合わないまま、彼氏と会わなくなってもう3週間が経った。

「予定なかなか合わないね」

彼が言った。


「合わせられなくてごめんね」

私はそう返した。


些細なことかもしれないけれど、大きなズレだと思った。

時間は自然と合うものではない。合わせる気がないと合わないものだ。彼にはその気がないことは、随分と前から分かっていた。


仕事が常に忙しい彼。休みも不定期で、彼が私に合わせるのは難しいことだということは分かっている。大学生で比較的時間のある私が彼に合わせるべきなのも分かっている。

だから、彼が会えると言ってくれる時は、私はどんなに遅い時間でも、少ししか一緒にいられなくても会いに行っていた。


でも、彼が会えると言ってくれる回数はそう多くはない。

私が「会いに行っていい?」と聞いても、仕事で疲れているから、仕事が終わるのが遅くなりそうだから、明日朝早いから、そんな理由をつけて断られることの方が多い。

理解はできる。それでも、24時間365日仕事をしているわけではないのだから、少しくらい会えるのではないか。そう思ってしまう。

だって私は、どんなにバイトで疲れていても、どんなに面接の予定が詰まっていて時間がなくても彼に会いたいと思うから。だからいつだって時間を合わせようと努力している。


彼はそうではない。きっとそんなに会いたくないのだろう。だから時間が合わないことを言い訳にして逃げているのだろう。


彼が逃げ続ける限り、私がどんなに時間を合わせる努力をしようとも、私たちは会うことができない。


薄れてしまった私たちの恋は、もうすぐ消えて無くなりそうだ。

完全に無くなってしまう前に会ってきちんと終わらせたいのに、このままだとそれすら叶わなそうだ。



もともと彼の転勤という期限付きだったこの恋は、きっと期限までさえももたないのだろう。


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?