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出生前診断 - NIPTを受ける②-

前回の投稿から8カ月。
実際に我が子の命を自分の手で失ってから1年経とうとしている。
3歳になる息子がいるおかげと言っていいのかわからないが、
日常生活が戻っている。

家族が増えるはずだったため決めた引っ越しも終わり、
色々ありすぎて仕事に全く向き合えなくなってしまい、
楽だけど全く面白くない仕事を辞めて、
新しい仕事が始まり、
子どもが産まれてから初めての海外旅行にも行き、
来年から通う予定の幼稚園も決まり、
ありふれた日常を過ごしている。

それでも、あの時のことを1日も忘れることはない。
思い出すたびに苦しくなるし、
自分の手で失ってしまった我が子に会いたいと毎日願う。
なんて勝手なんだろうとは理解している。

毎日遺骨に手を合わせて心の中で思うのは、
「愛しているよ」の言葉。
散々悩んで散々泣いて苦しんで下した結論だったから、
後悔はない。
あの時の私は産む勇気がなかった…。
それでも、あの子に会いたい。
そんな風に身勝手に心が動く。

さて、前回の続きです。

NIPTの結果を夫と聞きに病院へ。
基本は連れ添いはNGな病院だったが、
本ケースは例外で許可された。
むしろ病院側から、旦那さんも一緒に来てね、と。
夫とは祈るような気持ちで病院に向かった。
数%でも陰性となる可能性にすがっていた。

受付の際に、カルテをふと見ると
総合病院への紹介状的なものをちらっと発見してしまった。
本当にちらっとだったので、今でもあれがそうだったのか真偽は不明なのだが、その時に
「ああ、陽性なんだな」
と直感が働いた。
その旨夫に伝えると、
普段どちらかというと頼りなくていつも私に「どうする?」とか聞いてくるタイプだったので、
「そうか…」
と冷静でいてくれたのが意外だった。
そしてそれが少し救いだった。

呼ばれて診察室に入ると、
「陽性」の文字が飛び込んできた。
ああやっぱり…
そんな気持ちだった。
淡々と、羊水検査をしないことには確定できない旨伝えられ、
日程も限られているので羊水検査の日程を決めて帰ることになった。

夫も私も、そのまま帰宅して仕事なんてする気になれず、
「どっか海でも行こうか」と車を走らせた。
みなとみらいがいいと思った。
そして海が一望できるカフェに入って、
ほとんど沈黙の時間を過ごした。
お互い自分の中でそれぞれ気持ちの整理をつけていたんだと思う。
最後の方に、私から
「どうする?」
と聞いた。

続く

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