なぜ出身地を初対面で聞くのは愚策なのか
日本だと「お国はどこですか?」はまったく失礼でないのだろうが、場によっては失礼になる。
私の母はコーカソイドで父はモンゴロイドだ。
なので日本にいると開口一番初対面で出身地を聞かれる。今はもう慣れたけども、正直若いときは辟易した。(別に子供同士、同年代で聞かれるのは気にならなかったけど、大人に聞かれるのは嫌だった。こいつなんも考えてないんだなと思った。子供ながらに。)
マイクロアグレッションという言葉をご存知だろうか?
せっかくなので引用しておく。
上からもわかるように、別にハーフでなくても特定のカテゴリに属することで皆が日々受けているとおもう。例えば独身のひとに「彼女作らないの?」とかもマイクロアグレッションだ。被害者ヅラしているが、私自身何度も相手にこういったことを無意識にしてきたと思う。日々反省であり、今後一層気をつけたい。
私自身はこの手のことはもうどうでもいいし不快にも思わないけど、不快に思う人もいるという知識を持って暮らしたい。誰も傷つけないのは無理だけど、少なくとも努力したい。
小さな子供の心を傷つけてしまう可能性もある。自分の話ばかりで恐縮だが、小さな頃から何度も「どこの国の人なの?」と聞かれていると「自分はこの社会のはぐれものなんだ」という刷り込みとなる。これは私を強くしたと思うし、今となっては私の一部だし、全くなんの恨みもつらみもないわけだが、なんとなしに「ああいうのが無い社会であったら自分はどういう人間になっていたんだろうなあ」という感傷のようなものはある。笑
さて本題に戻ると、それなりの場で初対面で国籍を聞くのは愚挙である。
例えば私は今シンガポールでグローバル企業に勤めていて、様々な人種と国籍に囲まれているが、まず誰も私に国籍を尋ねたりはしない。ある程度会話が進んできたら自分から開示したり、聞くとしてもかなり遠慮がちに遠回しに聞かれる。
そもそも、国籍を尋ねる意図を考えてみてほしい。なぜ初対面でそれを尋ねるのだろうか?
①単に話題作り
②その人が今いる場所の国籍とは思えないから興味本位
が主な意図だと思われる。
①の場合、初対面から自分を話のタネにされて喜ぶひとは多数派だろうか?
日本だと地域に置き換えるとわかりやすいかもしれない。
「えー大阪なんだ!やっぱりタコ焼き機もってるの?」とか毎回聞かれたらだるい。もちろんだるくない人もいるのは知っている。ただダルい人も一定数絶対いるとわかっていて初対面からこの質問する必要はあるのだろうか?天気の話でよくないか?
②の場合、その質問はつまり「あなたこの国の人じゃないですよね?」と言っているのと同じである。その質問がふさわしい場であるか、それだけ考えればいいと思う。その質問はつまり、質問相手=今ここにいるのに違和感がある存在だ。と表明しているのと一緒だ。
まあいい大人同士のことはどうでもいい。正直日本人はすでに国際社会においてものすごく評判が良く、また特異であることが知られているので、特にこの質問を受けてもある程度日本人の生態を知っている人なら失礼だとかは思わないだろう。ご先祖様に感謝である。
私が言いたいのは、子供相手には絶対にその容姿に関する言及をしないでほしいということだ。容姿から判断して社会的にその集団外なはずだ、と暗に言われ続けることは、子供には結構ストレスだ。
本題からはズレるけど、初手からその人の属性について聞くのって、その人自身についてよりも背景情報を知りたいんだなと思ってしまう。私の仕事や、すきなことや、好きな人の話よりも、私がどの社会集団に属していて、どういうルーツを持つかの方が気になるんだなと。そういうのって少し寂しい。
特におちのない話になってしまった。ぐだぐだ書いたけど、誰に聞かれたかにもかなり依存すると思う。信頼関係ができている相手ならどうということのない質問だろう。ただ初対面のときは気をつけたい質問だなと。こんな質問一つで2000文字も語ってしまう私のような人間もいるので。笑
良い週末を!
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