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不動のレギュラーへ

底を這う

まさかの二試合目スタートの今シーズンから一か月。濃ゆい濃ゆい時間だった。調子いいはずだった息子はあの後も芳しい結果を出せずに低迷。ライバルの一年生が打てなくなっても息子にチャンスがまわってこないという辛い辛い現実が待っていた。三月半ばには私はすべてのやる気を失い、へそを曲げ応援に行くことを辞めた。それでも息子の活躍はなかなかやってこなくて、もしかしていじわるをされているのか?とさえ妄想する始末。

ついに

そして突然、私の気持ちの方向転換がやってきて、私が闘うかのような面持ちで応援にふたたび通いだした。。ライバルの打席では念を飛ばし息子の打席では熱い視線を送った。気持ちこめすぎて、二試合終わるころにはへとへとになった。そうして二週間ほど経ち心身が疲弊したころ、一年生のライバルがAチームを去った。それでも息子のチャンスの機会が少なくて私の闘いは続いた。そうして後に続いた子たちもチャンスをものにしきれずに、ついに息子の出番。

わたしの闘いは報われた。

地道に地道に結果を出し、練習では毎日毎日魂をこめ、疲れ切って帰宅する日々が道をひらいた。ベンチ入りが決まる大切な練習試合でライバルを引きずり下ろし輝かしい結果を出した。本人が一番不安な守備のエラーもしなかった。

待ちに待った

そしてベンチ入りメンバー発表。高校野球最大のメインイベントであり、すべての選手の祈りが交錯するとき。いや選手だけではない。親の願いも錯綜するとき。

ついに念願の一桁番号をいただいた!

迎えにいった車に乗り息子がそれを告げたとき、「きっともらえる」と予想はしていたけれど私は歓喜した。力が抜けた。がんばった息子を讃える言葉を並べた。当の本人は「喜んだのは10秒間」と言い、表情は崩れていなかった。今日ぐらい喜んだらいいのに・・・と思ったけれど息子は引き締まったカッコいい顔をしていた。翌日も練習試合がある。ここでしくじったらスタメンをはずれるかもしれない。そんな思いもあるにちがいなかった。

たたかい続ける息子

日々の練習を全身全霊でやり、プレッシャーのなかで練習試合をし、ようやく背番号をもらえたら今度はスタメンで出るためにまた緊張感とたたかう。そして公式戦スタメン出場できたら、打たなきゃいけないしエラーはできないという責任感。ひとつクリアしたらまた次の壁。いつまでたってもハラハラドキドキ。そういう高校生活を送っている息子に「あなたは素晴らしいよ」と心の底から感じる。

ハラハラドキドキありがとう そしてさようなら

だけどね、ママは気づいちゃったのよ。このハラハラドキドキは、今、あなたが途中にいるからなのよ。公式戦にスタメンで出続けたら、このハラハラドキドキは必ず姿を変えると思うのよ。一試合ごとに薄くなる。そうしてごくごくうっすらしたものになる。打てなかったら・・・とかエラーしたら・・・という不安はわずかになって、「スタメン当たり前」になり「今日も打つ」がデフォルトになり、きっと試合を楽しめるようになり、もっともっと野球が面白くなる。

それがあなたの目指す「不動のレギュラー」。

だからまずは明日の試合。ママは全力で応援するよ!


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