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PLAY! MUSEUM ~かおとあおむしとクリームソーダ~

ぱりっと鮮やかな色づかい。記号的だけど温かみのある表情や質感。

やはり原画には、印刷物とは違う豊かさがあります。
こうしたことを味わえるのは、展覧会ならではだなと思います。

先日、立川市のPLAY! MUSEUMに「tuperatupera のかおてん.」と「エリック・カール:遊ぶための本」を見に行きました。絵本好きにはたまらない2大スターの作品をわくわくしながら鑑賞し、とても楽しかったです。

PLAY! MUSEUMは今年オープンしたばかりの美術館です。
あたらしい美術館と銘打っているだけあり、「かおてん.」は空間の作り方や鑑賞者の心を掴むしかけがとても巧みな展覧会でした。



入り口で手渡された「かおシール」をマスクに貼りつけ(本当は顔に直接貼るのですが、このご時世仕方ない)、自分も作品の一部になった気持ちで臨みます。
展示室内は動画や写真の撮影もOK。
円形の「ルーペ」で隠れている顔を探したり、妖怪の潜む家を覗いたり、訪れた子どもたちは思い思いに展示を楽しみます。


わたしもちびっこたちに負けじとバラエティ豊かな展示を見て回りましたが、もっとも興味深かったのはやはり絵本の原画でした。

tupera tuparaさんの作品は普段様々なシーンで目にしますが、原画を見たのは初めてでした。
円形の絵本の原画に空けられた、コンパスの針のあと。貼りつけた色紙の継ぎ目を編集時に「消して」ほしいというトンボの外に書かれた鉛筆指示。パステルをぼかすことで繊細に表現された陰影など。。

パーツを切り抜き、ひっくり返したり並べなおしたりしながら制作している様子を映したメーキング映像も興味深かったです。ものをつくることのエネルギーが、喜びとなって伝わってくるのでした。


「エリック・カール:遊ぶための本」も贅沢な展示です。
かの有名な「あおむし」をはじめ、様々な絵本の原画を間近に観賞することができます。tupera tuperaさんの作品の緻密さに対し、カール氏の原画にはおおらかさと筆の勢いがあり、同じ会場内で両者を見比べるのも楽しいです。
あおむしが食べたごちそうの絵を見ながら、小さな男の子が「チョコレートケーキと、アイスクリームと。。」と元気よく歌っていた姿にはじんわり感動。
繰り返し読んだ絵本が、いつしかその子の一部に溶け込んでいるのですね


ところで、展示の前にまず驚かされるのは再開発された美術館周辺の景観。
噴水の水が踊るように揺らめくテラスに、小洒落たカフェやら雑貨屋やらすてきなお店がずらり。
ここは今まで見知っていた立川ではないようだ。

失礼ながらつい最近までわたしの立川に対するイメージは、大学の学部の謝恩会で訪れたやや寂れたホテルの印象が大きく影響していました。
避暑地のショッピングモールのような空間はあきらかに今までの立川像(?)とは異なっており、着てくる服はこれでよかっただろうかと思わず自分のTシャツ姿を見下ろしたほどです。


おしゃれな雑貨を扱うセレクトショップで、クリームソーダ用の金属製ストローなるものを発見しました。どのような形状かはお察しください。おもしろいものを考える人もいるものだなあ、そういえば最後にクリームソーダを飲んで、舌を緑色に染めたのはいつだったかしら。


最近なんとなく足が遠のき、久しぶりに行った展覧会でした。気遣うことも多く大変な日々だけど、書を捨てて町に出ると思いもかけないものに出会うことがある。刺激を受けてがんばろうと思うことがある。


夕方激しい雨が降ったあと、透き通った空に大きな虹がかかっているのが見えたのは、嬉しい発見でした。

画材費、展示運営費、また様々な企画に役立てられたらと思っています。ご協力いただける方、ぜひサポートをお願いいたします。