見出し画像

徒然なるロックダウン記@ホーチミン

ベトナムホーチミン市はコロナに関しては天国と地獄の両極端を経験した珍しい都市である。

他の国のどの都市にも例を見ないくらいの完全なる鎖国政策によって完璧にコロナを制圧していたのが2020年の秋から2021年の1月くらいにかけて。日本には帰れないものの、東京は大変だねぇシンガポール厳しいねぇと他人をやや上から目線で同情したり心配したりする余裕があった。だって普通に市中感染ほぼゼロだったし、市民生活はマスク以外は滞りなく営まれていたから。

しかし風向きが変わってきたのは2021年の2月くらい。やはり旧正月(テト)の人々の移動によっていろいろ広まり、非常に不安定な情勢が続くもののまだロックダウンとまでは行かなかった。

ベトナムは祝日や連休が極端に少ない国として有名だが、基本連休は旧正月と日本のゴールデンウィーク付近と9月の最初くらいしかない。旧正月に旅行できなかったらもうこの世の楽しみはないっていうくらい悲しい気持ちになる。コロナだってその旅行欲(ベトナム国民にとっては帰省欲)を抑えることはほぼ不可能。でも私たちは冗談抜きで泣きながら恒例の天国に一番近い島(勝手に言っているだけ)フーコック島でのバカンスをあきらめた。なのにやっぱりコロナじわじわ広がって…

だましだまし3月を乗り越え、4月も下旬。さあ4月下旬から5月頭にかけての4連休!!どうするどうする???我が家は英断を下した。行けるときに行っておこうと。ベトナムの軽井沢(勝手に言っているだけ)ダラットへ!!!久々に飛行機に乗っていざ軽井沢へ!ホテルから一歩も出なかったけどひんやりとした松のさわやかな香りとお花のあま~い香りがする素晴らしすぎる空気を過呼吸一歩手前になるくらいこれでもかと吸いまくり、湖のほとりを散歩し、松林の中でブランコに乗ってぼーっとしたりして自然を満喫した。(食べ物はなんか毎晩鍋ばっかりで飽きたけど野菜はおいしかった。軽井沢だから。おすすめです。みんな行って空気吸ってきて)

うん、そのあとやっぱりコロナ大暴走。みんな旅行しちゃったもんね。でも心から思った。行っといてよかったと。あの思い出がなかったらロックダウン耐えられなかったと思う。行けるとき、行っておくのが正解です。コロナ渦中の家族旅行。(Covid19心の短歌)

連休明けの数日、5月第1週だけ学校に通えたけど、次の週から完全オンラインに。予告あり緩やかに始まったロックダウンだったから化粧品買いだめしたり、美容院行ったりできたのはよかった…あれが最後の美容院だった。もう半年以上行っていない…そして子どもたちがオンライン授業になってからもう半年が経つのである。子どもの半年をなめてはいけない。我々の数年分の価値がある。そして感覚的にも数年の感覚に違いない。コロナ憎きコロナ。コロナ嫌い。コロナ悪い…

社会主義国の強みはやるぞ~って言ったらもうトップダウンで指示が100%通ること。もうあれよあれよという間にどんどん規制が強まって、7月9日から本気のロックダウンが始まり(もう忘れちゃってたけど調べた)、8月23日から超絶本気のロックダウンに突入。超絶本気ってどういうことかって?完全外出禁止だよ。買い物もできないから配給制に。デリバリーすら止まったんですよ。配給も地域ごとにやってるからちゃんとしてるところと、全然ダメなところがあって…お買い物部隊っていうのが出動して、買い物リスト的なやつに記入したら買ってきてくれるとかくれないとか…

もうなんか記憶がないんですよねそのあたりのことは。(私の7月と8月はどこへ消えたの?)ただ鶏肉って言ったら丸ごとのにわとりが来たり、胸肉注文したらまじで頭と腹と足を切り落とした胸のところがば~んって来たり(肋骨ついてんの!!)してもう無理だったことは覚えている。お買い物部隊がちゃんと仕事しなくて食糧危機になりそうになったところで、同区内のデリバリーが解禁されてお買い物部隊がなし崩し的に消滅したのはベトナムらしいところ。笑えたねあれは。

何が起こるか分からないから必要なものはまとめ買いしてストックしておかなきゃ!っていう癖が付いてしまったような気はする。冷蔵庫と冷凍庫に隙間があると焦る。洗剤石鹸トイレットペーパーティッシュペーパーキッチンペーパーあたりは多めに買っておかなくちゃ。お米もお味噌もお醤油も。っていうなんか秋のリスみたいな切実さがまだ自分の中に残っている。

でもこの半年の収穫もあった。それは

1. 新しい趣味の獲得(BTSと韓国ドラマ)

2. エクササイズの習慣化(運動すると気持ちがいいって人生で初めて知った)

3. 外食できないし食生活が改善できて少し痩せて維持できている

4. 家族のつながり強化(協力しないと生きていけない)

もちろん悪いこといっぱいある。っていうかほぼ悪いことしかない…でもまあ少しでもいいことあったらそれはそれでいいかって思える。まだコロナ全然終わってないし、いつ終わるかわかんないし、ロックダウン終わった後もろくなことないし、まだ学校始まってないし、美容院も行けてないし、ヘッドスパもマッサージもまだ行けないし、次のテトもフーコック行けるか分からないし、来年の夏も日本帰れるか分からないし、もうおいおいって感じだけど…いいことが少しでもあったことは救いでしょ。

コロナウイルスって本当に狡猾で、人間が一番大切にしていること、無意識に享受して無意識に幸せを感じてバランスを保ってきたことを徐々に奪っていく本当に本当に人間と相性の悪いウイルス。地球征服をもくろんでる宇宙人がばらまいたんじゃないかって思っちゃうくらい頭がよくて性格の悪いウイルス。人類大健闘してると思う。科学者のみなさんありがとう。私なんかワクチンも薬も作れないけど不幸にならないことでウイルスと戦ってるんだって思わないとやってらんない。

そんなこんなで10月から急にロックダウン解除されて少しずつ行動の幅が広がりつつあるホーチミン市。でもね、ロックダウンが終わった後も笑っちゃうくらいいろんなことあったからまたそれは別に書いてみようと思います。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?