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【創作ー綴り】ヤンキーは嫌いじゃない

昔、ヤンキーに誘われた。
それまでは、私は彼女らに リンチされていた。
殴る、蹴る、のリンチでない。
言葉に拠るリンチ。

「かわいいと思い込んじゃって」
「馬鹿のくせに」

結構、ねちねちとやられた。
女子だけの家庭科の時間には 特に。

ところが
ところが

ある日を境にぱったりと
その状況は、様相を変える。

ある家庭科の時間だった。
足踏みミシンの扱い方を
先生に習って
私たちは操作を始めた。

その、私をいじめるヤンキーたちの集団は
扱いが まだ分からなくて 立ち往生。
私が、進んでやり方を教え、
無事にその授業は終わった。

それ以来、
そのヤンキーたちの
私に対する
「かわいい」
「かわいい」
の連呼、嵐。

私は、悟った。
彼女たちは私と仲良くしたかったのだ。

けれど、仲間に入って
髪を染めたら、

今度は父に殴り倒されそうなので
やめといた。

今にしてみれば、
んなこと関係なく、
仲間に入っておけばよかった。

ヤンキーは、嫌いじゃない。
友達は ほしかった。

©️2023.10.5.山田えみこ

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