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【創作サスペンス】ころされた山田えみこ

「これは、酷い……、よっぽど恨まれてますね」
トレンチコートを着た背の高いシルバーヘアのくたびれた紳士に、警官は話しかけた。

床には、アラウンドフィフティのちょっと太った女性が、血まみれの状態で倒れている。

救急車を呼んだが、間に合わなかったという。

「一体、誰に恨まれていたんだ? こんなにずたずたにされるなんて」
「この女性……山田えみこさんは、相当恨まれていたそうです」
警官服に包まれたミドルエイジの真面目そうな警官が言う。
「だから、何故だと言うんだ? 一体誰が? 」
「それが……」
警官は、言葉を濁す。
「複数の人間、それも大人数から恨まれていたそうです」
「? 」
「じつは……」
警官はゴニョゴニョと、なにかトレンチコートに耳打ちをする。
「な、なんと! それは恨まれて当然だ!! 」
「そう、……相当酷かったらしいですよ」
「『note』で、『スキ返し』をしないで書きたい放題か」
「うーむ……」
トレンチコートは、腕を組む。警官、続ける。
「害者……山田さんは、常日頃まじめに『スキ返し』もせず、記事を書きまくっていたそうです。『他の人の記事にはフィーリングで波動が合ったときに訪問できる。自分のその日の波動が合った人にしか訪問出来ない』と」
「なんと、いい加減な! スピリチュアルか! 」
「それで、相当不評を買っていたそうですよ? 『まったく山田さんは』と」
(うーむ)と、トレンチコートと警官は腕を組んで唸る。
「ま、仕方がないですね」
「こういう人は、殺されて当然なんですよ」
「ま、取り敢えず『せいうん』のお線香でもあげておくか」

二人の警官が線香をあげる。
それは、不真面目な一人のnoterの死であった。


                完

   あれ? 犯人はどうしたの?

 *スキ返しがんばりたい……すみません💦





©2023.12.28.山田えみこ





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