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欲張りは1日ひとつだけ

今日は苦手な仕事を完遂した日だった。

電話でアポイントをとって、相手に会いに行き、簡単な説明をする仕事。

今までの私なら、怖がってアポイントをとるのをためらって、先延ばしにいつまでも終わらせられなかった。

だけど、今回は「こうなったらどうしよう…」という思考がわく前に電話を持ち上げちゃおう、とがんばった。
そしたら案外得意な仕事と分かって、さくさく希望通りの期日に終わらせることができた。

そんなわけで今日はご褒美の日。
漫画の続きが買いたくて、本屋に行った。
しかし、欲しい巻は無かった。

じゃあ、と他の本屋を探すが、少し遠い。
昼間にアポイントで歩き回った分、ヒールの足は疲れていた。

それなら、とケーキ屋に立ち寄る。
ずーっと食べてみたかった憧れのお店が空いていた。
いつもは外から眺めていただけだったけど、ついに買った。

るんるんしながら紙袋を持ち歩き、改札へ向かう。
途中本屋があるのを思い出したが、「これ以上欲張ったら疲れちゃうな」、自然とそう思った。

今日は美味しいケーキが買えた。
それだけでいいじゃない。
きっと足を伸ばして本屋に行ったら疲れてヘロヘロになって、ケーキを美味しく食べられない。
欲しい本が無かったらなおさら悲劇だ。

欲張るのは1日にひとつでいい。
欲張りすぎると疲れて幸せを見失ってしまう。

じゃあ、頑張るのも1日にひとつでいいな。
何でもかんでも完璧にしようとすると、小さな成長を見落としてしまう。

今日だって、仕事を終わらせただけで大成長だ。あれもこれも出来なかったなんて考えても仕方ない。
それら全ては、今日出来るようにならなくてはいけないものでない。

自分の背丈に見合わない欲望を抱えていたから、私はあんなにも飢えていたんだな。
そんなにたくさん、1日じゃ実現できないのに。
どんな状態であれ、望みを達成できなかったことは悲しい気持ちになる。

今日は美味しいケーキの日。
明日は何の日にしよう。

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