夢占いに毒された女


私は、夢占いが好きだ。
朝起きた瞬間、枕元にある携帯をすぐ手に取り、見た夢の内容を検索している。

人生で1度だけ白蛇の夢を見たことがある。
実は、白蛇が夢に出てくると、金運が上がる、宝くじが当たる、ということで有名なのだ。

バンドのツアー中だった私は、長野のホテルで目が覚め、思わず
「勝った・・・。」とガッツポーズをしていた。

すぐさまgoogle mapを開き、宝くじショップと検索し、近くに出てきたのは
駅前の宝くじショップ。

ここまでくると私のググりは勢いを増す。
この駅の近くにある宝くじショップの評判、別店舗との比較、定員の顔チェック(そこに今日いるかわからないのに)、全てがベストだと思えた店舗を見つけ、
ライブのリハーサルを終えた私は、走った。

この時の私は宝くじのこと以外、もうどうでもよくなっていた。入り待ちしてくれていたファンにも目もくれず、人混みを華麗にすり抜け、長財布を片手に、血眼で長野の駅を走っていた。

駅の地下街は電波が非常に入りにくかった。
土地勘の無い私からすれば、駅は迷路だった。
宝くじショップの閉店時間まであと15分をきっていた。

(この野郎・・神は私に試練を与えているのか・・)

その時だった。




宝くじショップは右に500m



(勝った・・・。)


無言でガッツポーズをし、颯爽と人ごみをかき分けたその先に
宝くじショップは、あった。





あった。




あったのに、やっていなかった。



なんと、改装中で今日まで臨時休業しているというのだ。




(クソオオオオオオオオ‼︎‼︎‼︎)


と心の中はきたない言葉であふれていた。
許しておくれ。今日だけは・・・。


トボトボと歩く帰り道。
神に与えられた試練をしっかり受け止め、ライブハウスに戻り、
ライブでその話をすると、お客さんは笑ってくれた。


(あぁ、よかったかもな。)


そんなことを思いながら、ライブハウスを後にした。






諦めの悪い私は、地元に帰って宝くじを買ったが、見事に当たらなかった。


そんな私は、今でも朝の日課のように夢占いをしている。


もれなく幸せに気持ちになります🥺