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勝とうとしないもの最強説

ああ、それは本当に見事な自爆でした。
わたしは丸腰の相手を一方的に切りつけたはずなのに相手はどこを刺しても血を流さず、気づいたらわたしだけが血だらけだったというお話です。

わたしは彼女に宣言しました。
わたしはこれからあなたを傷つけますと。だからどうか鎧をつけてくださいと。
しかし彼女は生身でいくといいました。
わたしは真正面から人を傷つけるという恐怖と共に彼女をナイフで刺しました。
しかし彼女の様子は変わらない。
そんなはずはない!そうか、わたしもまだ人を刺し慣れていないから
怖くて目をつぶってしまって刺し間違えちゃっただな、
よーし今度は絶対に刺すぞ!目を見開いてえーい!
よし刺さったぞ!
ん?あれれ?やっぱりダメージがない。ほよよよ?
しかし下に目をやると血がどくどくと流れています。
んん?この血はどこから流れている?
相手を見るといたって普通。むしろ溢れる笑み。
ふむふむそういうのにむしろ喜びを感じる猟奇的な趣味をお持ちの方でしたか。
お目にかかれて光栄です。
でも傷口はしっかり確認しておこう、、ってない、、?
ない!!そんなはずは!だってちゃんと刺したのを見たもの!
まさかまさか
まさかこれはわたしの血、、、
んぎゃーーーーー!!

ええ相手にはなった言葉は見事に自分に返ってきましたよ。
忍法 鏡の術。おそるべし。

いや、わかっていましたよ。こうなることは。
でもやってみたかった。
わたしなりにもこのイライラの答えを出した後にそれでも相手に伝えてみようと思ったんです。
わたしはあなたをこのようにジャッジしました。ええ、ばかにしましたよと。
わたしはあなたの本音が聞きたい。(闇を見たい)
なのに出てくる言葉はうつくしいことだかり、みんなみんなっていうけど、
あんたはどうしたいんだよ。もっと自分を掘ってよ。浅くてありふれているんだよ。と。
言えたこと満足してるんですけど、やっぱり自分に返ってくるものですね。
今回はしっかり目視できました。

相手はお見事。
この法則もお見事。

わたしは美しい放物線を描いて地面にダイブしました。
我ながら美しい負けっぷり。
ああなんてすがすがしい空。
そうかわたしのクソみたいな暴言を聞いてもそこにいてくれるのか。

わたしはひとりだけどひとりじゃないんだね。

あなたを浅くしか捉えてないのはわたしの方。
ええ、掘るべきは自分。
こんなものでわかった気になるなよと鬼がわたしにいう。(ぴえん)
なんせわたしは抑圧のプロだから、まだまだ掘るべきものが眠っています。
いつになったらこの作業をたのしいと感じるようになるのでしょう、早く終わりにしたいものです。。無理だそうです。(by鬼)

そしてわたしは相手に母も投影していました。
母は自分を全然掘らない人。掘る能力がない人とも言えます。
わたしはその面の皮を剥がそうとあらゆる方法を試みました。
厳しい言葉を投げかけて傷をえぐった。えぐり続けた恐ろしい娘です。
「ねぇわかってよ。傷口をちゃんと見てよ。母の本音をおばあちゃん(母の母)に伝えてよ。そしてどうか楽になってよ。」
わたしから見える母はどこか苦しそうにも見えた。
でも本当はそう見えただけ。母はもう十分幸せでした。
そして母を救いたいと思いながらも同時に幸せそうな母にわたしは腹が立った。
わたしを不幸にしておいて何一人で幸せになってんだよ。
わたしの傷口はいつまで立っても塞がらないんだよ。
あんたがわたしの地獄を本当に理解するまでは。
お前もここまで堕ちてこい。

でも母は変わらなかった。
母はどこまでも母のままで、ごめんねって言ってくれるものの、
次に話した時はフレッシュな今までの記憶がなかったかのような母だった。
いつも振り出しに戻る会話にわたしは絶望した。
繰り返すこと20年。ついに母が変わることを諦めたわけです。

今ではもう母はわたしの中でよく忘れている存在となりました。
しかしゼロになったわけじゃない。
たまにこうしてこんにちはと現れます。
そしてわたしに教えてくれるのです。
ここに宝石が埋まってるよって。

わたしは母のこと、どうしようもなく好きなんだと思います。

そしてわたし自身に対して、
わたしがわたしに失敗させてやるのも、恥をかかせてやるのも、
わたしのわたしによるわたしのための愛なんだと思っています。骨が折れるけど。
ほんとうは、もっとスマートに生きたかったよ。


追伸
わたしと対戦してくれた君へ。(ファイティングポーズをとったのはわたしだけ)
あなたは以前、勝ち負けで世の中を見てたって言ってたよね。
勝ってその時は満たされてもその後で負けたことに気づいて自分を責めたって。
そして負けたらまた自分を責めたって。
もうあなたは戦いという戦場をおりたことで、勝手に戦いに勝っています。
きっとあなたが目指していたもの。
かつて憧れてなりたかった自分にもうなっているね。
そんなあなたに心からエールを送ります。
あなたは深く自分を見つめた勇者であることを。

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