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この日本という国で女性に生まれて…

ここ最近、東京医大の不正入試問題のニュースが世間を騒がしている。

内部調査委員会の報告書によると、今回の女性受験者への差別について「(聴収にによると)『女性は年齢を重ねると医師としてのアクティビティが下がる』というのが、得点調整を行った理由のようだ」とのこと。

うーん、どうなんだろう。確かに忙しい職場だと思うけど、別に医師に限らず、他の職業でも、ものすごく忙しい仕事はある。

そして、どの仕事でも、結婚・出産・子育ての間は、女性に限らず、家庭を持っている男性でも、仕事のペースをダウンさせて、家庭にエネルギーを注ぎこまなくてはいけない時期があるものだ。この時期のフォローについては、やはりその職場のトップが責任を持って環境整備をしていく部分だと私は思う。

第一、今後は「子育て」だけでなく「介護」も大きな課題だ。実際に介護離職をする人が年々増えている現実があり、ここは女性だけでなく男性でも皆が平等に「親の介護」の責任を負わされる。

そう考えると、仕事のペースを全く下げることなく、仕事量も勤務時間も限界に近いレベル状態で、自分の仕事をバリバリと定年の60歳まで好きなようにやり続けられる人って、はたしてこの日本にどれだけ居るんだろうか?と不思議に思う。

昭和の時代なら、男が外で働き、女は家で家庭のことをやる…というふうに、性別で役割分担が決められていたから、家庭持ちの男性は、仕事を理由に、自分の家のことや自分の親の面倒を全部、妻や娘に丸投げして任せて(=押し付けて)、仕事に集中できる時代だった。

また、昭和の女性も、家庭に入って「良妻賢母」で生きることが美徳と褒められた時代だったから、結婚と同時に、自分の意志を心の奥に封印し、「いい嫁さん」「いい妻」「いいお母さん」にならなくてはいけなかった。

とにかく昔は、時期が来れば「結婚すること」が当たり前で社会的常識。そして、人として一人前に認められるためには「結婚していること」が必須だった。更に、結婚したら、今度は「子供がいること」が当たり前だという価値観…。

結婚・妊娠・出産・子育て・孫ができる…というレールの上をちゃんと走りきることが、社会的信用につながる時代だったと思う。

しかし今は、もう男性だけが仕事をしている時代ではないし、女性も家庭に収まっている時代でない。

女性も、自分の能力・才能・技術・技能をどんどん社会で発揮して、大いに社会貢献していく時代である。

また、男性も、ずっと職場にかんづめになり、男世界の中で群れてマウントしながら生きていく時代ではない…と思う。

昔の昭和チックな価値観で生きていたら、どんどん視野が狭まり、思考も意識も男性主観の視点で偏り、心のバランスがとても悪くなるだろう。

限られた狭い世界観の中で生きることで、自分を「ガラパゴス化」させないためにも、仕事以外の世界(家庭や趣味)に関わる時間をしっかり持ち、仕事以外での人間関係も大切にすることが必要だと思う。


そういう点から今回の不正入試問題を見ると、結局のところは、大学のトップに立つ人の意識があまりに昭和チックで古臭く、ある種の「老害」が出てしまったのかな…と、思ったりもする。


少し前に、日大の悪質タックルの問題があったけど、あれも、今回の東京医大の不正入試事件と根本は同じじゃないか…と私は思う。


要は、どちらも「老害」。

徳の無い者が組織のトップに立って権力を手にすると、途端に自制心を失って、平気で人を傷つけ、人から搾取し、我欲に突っ走って、権勢を誇ることをやらかすのだけど、今回は大学のトップがそれをやってしまった…ということじゃないかな。

特に、昭和の価値観が根強い時代や地域に生まれ育った男性は、子供の時から「男」というだけで周りがチヤホヤしてくれて、跡取りだからと大事に育てられているから、自分のことを特別な存在だと信じていて「自分が一番偉い」と思っている人が結構多い。

そういう人たちが、大人になり、年を重ねて「高齢者」になると、ますます意固地で頑固になる。思考が固くなり、新しい時代の価値観に自分が合わせる…という意識が全く持てない。柔軟かつ臨機応変な対応ができないから、一直線に昔ながらのやり方を押し通し、組織を私物化する。自分が決めた通りに組織を動かすことが、結果「良いこと」だと心から信じている。

きっと、今回の問題で謝罪しなくてはいけなくなった、その組織のトップのご本人は、(不正入試にしても悪質タックルにしても)、一応は社会に対して「謝罪」はしたものの、彼らの心の内は「自分のどこが悪かったのだろうか?一体どこがまずくダメだったのか?」は、いまだにサッパリわかっていないかもしれない。

この認知の差。ジェネレーションギャップというより、もう、根本的に価値観も感覚も私たちとは全く異なる「違う世界の人」なのだ。

だから、世間が驚くような「不正なこと」「卑怯なこと」「酷いこと」が平気でやれてしまうのだと思う。

でも、今回のこの問題発覚が、いい意味で「社会の膿出し」になってくれることを心から願う。


そして、これからは、もう女性にばかり「面倒なこと」や「汚れ役」を押し付けないでほしいと思う。また男性の感情や欲の「はけ口」にしないでほしい。また、女性を「子ども扱い」したり「半人前」だと頭から見下さないでほしい。

女性は「使い捨てのごみ箱」ではないのだ。また「使い勝手のいいロボット」でもない。

男性と同じ、未来も心ももっている尊い人間なのだ。

女性に生まれたからといって、夢や希望を取り上げられ、都合よく使いまわされてエネルギーを搾取され、何でもかんでも詰め込まれて、現実を押し付けられた挙句に、「もっと頑張れ!」「もっと働け!」と尻を叩かれても、もう限界、無理である…。

古臭い価値観にまみれた男社会を維持するために、女からエネルギーを抜き取り搾取したり、男社会のレールから外れた女を社会からバッサリ切り捨てるようなことは、もうやめてほしい。

(これらは、おそらく「老害」と言われる世代が居なくなるまでの辛抱だと思うけど、子供たちのためにも、早く価値観の新旧交代をしていかなくては…と思う。)

そして、今を生きる私たちには、形式だけの福利厚生ではなく、ちゃんと権利として皆が気楽に取得できるようにしていくことが大切である。

また、男社会のシステムに女が無理に適応することばかりを要求するのではなく、女のリズムに合わせた時間の使い方を男も体験してみることだ。

こちらの方が、より人間的で男性も生きやすくなるだろう。

その上で、男も女も自由かつ平等で、気楽に仲良く支え合って生きていける…。そういう温かみのある社会になってほしいと切に思う。


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