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子育てを卒業してみて

この春より、わが子(一人息子)は無事に大学を卒業して、新社会人になりました。

学生時代から一人暮らしをしていましたが、就職した後も(職場に近い所へ引っ越しして)、そのまま一人暮らしをしています。

ですので、我が家は完全に「子育て卒業」です。

私は母親としての役割を完了し、今や、たまに声が聴きたいと思って電話しても、息子から「うざい」「もうかけてこないで」と言われる始末(笑)。

でも、それでいいんです。

これが「お母さんの声か聴きたかったよ~」と泣きつかれたり、向こうからしょっちゅう電話だのラインだのとコンタクトを取られたら、逆に心配になります。

母親からのコンタクトを「うざい」と感じて拒否できるってことは、マザコンではない証拠。なので、健全に育ってくれたんだなぁ…と一安心しています。

◇◇

しかし、子どもが家から離れて独立して暮らしている…という話をすると、たいていの人はものすごくビックリし、つかさず「淋しいでしょう?」「心配でしょう?」「早く一緒に暮らせるようになると良いね」と言われます。

私たち世代の人たちは、成人した息子と一緒に暮らすことが当たり前で、死ぬまで親子仲良く同居して生活していくことが「幸せ」なんだと思い込んでいるようです。

でも、私はそれとは全く逆で、一緒に暮らすより、それぞれが自立し、自分の人生を謳歌して自由に生きた方が「幸せ」だと思っているので、そうした私の考えを話すと、逆に驚かれます。

驚いてくる人たちは、もう何も考える余地もなく、「跡取り息子は親と同居して暮らすもの」という固定観念でガッチリ思考が固定されているみたいです。なかには、息子が結婚したら、今度は息子夫婦と同居して、内孫と一緒に暮らすことが「幸せ」だと信じている人もいます。

私は、(自分自身が)何も知らずに結婚後に同居して本当に苦労したので、息子が結婚しても同居は絶対に無理。別居して別所帯で自立して暮らした方がお互いの家族のためにベストだと思っています。

(とは言いつつ、結婚するのか?できるのか?さっぱり分かりませんが…笑)

ですので、私たち家族が「成人した子供とは一緒に暮らさない」という選択をしていることが、周りの人たちは不思議で仕方がないようです。

しかし、私の話を聞いて、「えっ?別に一緒に暮らさなくても良いんだなぁ。そういう選択肢もあったんだ!」と目から鱗が落ちたような表情になる人もいます。こんな人は、おそらく子供の頃から「親子は一緒に暮らすものだ」とずっと言われて続け価値観を刷り込まれてきたため、何の疑いも持たず「そういうものなんだ」と信じてきたのでしょう。でも、潜在意識では「家に縛られず自由に生きてもいいんじゃないか」と感じていたのかもしれません。

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もうこれからは、狭い家の中に成人した家族がたくさん寄り集まって、「家族ならば、皆で仲良く一緒に暮らさなきゃいけない」…という昭和チックな価値観は無理がくるだろうな…と思います。

同居のメリットとしてよく言われるのが、「何かあったとき、子どもが一緒に暮らしているのは安心」ということです。でも、その「何かあったとき」というのは、たいていの場合、親側の健康面でのトラブルのことを指していて、要は「介護要員」ということ・・・なんですよね。(汗)

しかし、そんな風に、いつか自分が動けなくなったときには子供の世話になる…と決めつけて、頭から子供に依存するつもりでいるのは、私はちょっと違和感を感じます。

頭から「自分は寝たきりになる」つもりでいて、最初から子供をあてにして生きていくのではなく、最後までなるべく元気で自立して生きていくことを前提に、日々の暮らしを立てていくこと。これが大切なんじゃないかなと私は思うのです。

また、たとえ家族であっても長く一緒に暮らしていると、嫌でも相手のいろんな面が目について、ついつい世話を焼いたり、焼かれたり、余計なことを言ったり、言われたり・・・等々。価値観の違いや意見の行き違いで誤解も生じやすく、変なしこりを残したり、かえって面倒な関係に陥ることも多々あります。そんな時は、同じ町内でもいいから、ちょっと距離を置いて別々に暮らしてみるのもいいのではないかな…と思うのです。適度な距離感を保ち、緊張感をもって暮らした方が、親子双方の「心身の健康」にも良いのではないかな…と思います。

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その他、別居した場合のデメリットとしてよく言われるのが、「離れていると、何かあったときに不便」ということがよく言われます。

しかし、今の時代は100年前の日本と違って、交通網がかなり発達しています。昔なら徒歩で数日かかって移動した場所でも、今は数時間で移動できます。また、インターネットのお蔭で、遠く離れていてもすぐにネットを通して情報交換ができる時代です。距離の遠さなど物理的な面での問題は、昔と比べたら格段に解消できています。

そうなると、今や「別居のデメリット」は、ただ単に「心情的なもの」…「親側の不安解消」がメインになるのではないでしょうか。

特に、親側が、社会的役割(男・女だから、夫・妻だから、父親・母親だから…云々)の価値観に縛られ、世間体を人一倍気にして生きている人達だと、現役を退いて隠居したとたん、自分の存在価値を見失い、心の穴を埋めるがごとく子供や家族に執着する傾向があるように感じます。

今は昔と違って、年齢や性差に関係なく、自分の気持ちに添って様々なことに自由にチャレンジできる時代です。

ならば、年老いても元気で居られるのなら、子や孫に執着して精神的に依存するのではなく、自分の好きなことややりたいことに挑戦して、自分の人生を謳歌して楽しんでいくこと・・・。これが今後はとても大切になっていくでしょう。

◇◇

私が子育て真っ最中だった頃は、自分の人生の半分が「子供」で占められていて、どこか「親子で一枚の羽織を二人羽織のように着ている」ような感覚で日々過ごしていました。ところが、子供が大人になって自立し、子育てを卒業すると、自分の人生の時間が100%「自分のもの」になり、二人羽織じゃなくて自分一人で一枚の羽織を着てもいいんだ~という感覚になります。

つまりは、子どもの自立は、親世代にとっても「子育ての責任」から解放され、精神的にも経済的にも子供から自立できるチャンスである…ということです。

◇◇

ということで、私は「子育て」という責任あるミッションを無事に完了させて、ようやく第二の人生のスタート地点に立ちました。

成人して社会人となるわが子のことは、息子自身にそのまま託し、私は子供のことを全面的に信頼していくつもりです。

そして、次は私自身の人生を謳歌します。私の人生については私が責任を持ち、私の意志でやりたいことを見つけてチャレンジし、私の人生を楽しみ謳歌していきます。

それが結果的は、子供に大人の生き方を示すことになり、自立して生きていこうとする子供を大いに励ますことにもなり、長い目でみれば「子供の幸せ」にもつながっていくのだと思います。

私は私。子供は子供。

お互いに、もう大人なんですもん。

無理して一緒にいなくても良いのです。

自立した大人として、親子の枠を越えた「新しい関係」を作っていきたいです。

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