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突然来られても困るんです!同居は絶対ムリ!…な訪問者

5月のある日、キッチンのテーブルでパソコン仕事をしていたとき、ふと、キーボードの辺りに一匹の虫がとまっているのに気づいた。
それは1㎝くらいの細長い羽根を持つ黒い虫で、初めて見るものだった。いつ飛んで来たのかわからないほど、音もなく気配も感じさせず、ふわぁ~とやってきたという感じの不思議な虫である。

すぐにティッシュでつまんだところ、簡単に捕獲できた上に、そのままクシャとつぶれてしまった。
「変な虫だなぁ…」
と思いつつ、ティッシュをゴミ箱に捨てて、飲み終えたコーヒーカップを洗おうと思いシンクに行ったら…。

なんと!シンクの中に、先ほどつまんだ虫と同じものが、うじゃうじゃといたのだ。
「・・・・・!!!!」
人間驚き過ぎると、声も出なくなるものなのね(汗。

ブンブン飛び回るような元気なものではなく、シンクの底にへばりつくようにしていて、羽ばかり目立ち弱々しくフワフワしている。慌ててキッチンペーパーでつまむと、羽はハラハラと外れて、黒い糸くずみたいな虫の本体だけになってしまった。
黒い羽根と虫が大量に残っているシンク。そのあまりに気持ちの悪い光景にゾッとしたけど、とりあえず2匹ほど捕獲してビニール袋に入れた。あとは全部キッチンペーパーにくるんで捨てた。

その後、すぐに検索して調べてみたところ、これはどうも白アリの一種「ヤマトシロアリ」の羽アリだとわかった。捕獲した虫の本体を見たら、見事に特徴が一致した。

…ということは、この家の中にシロアリがいるってこと!?

シロアリ駆除業者のサイトを見つけて読んでみる。それによると、シロアリが飛び立つのは、ちょうど今頃の季節。5月の雨が降った翌日のよく晴れた強風の日。今いる巣がキャパオーバーになると、次の巣場所を求めて、羽アリたちが一斉に飛び立つのだという。もともと太陽の光に弱い生き物なので、本来は白い色をしているシロアリも、巣立ちの時は紫外線に当たってもいいように黒い色をしているらしい。こうして飛び立ち、着地した場所で羽を落として、新たな巣となる木材の中に侵入するのだという。
ただし、身体が弱い虫なので、そんなに長く飛ぶことはできない。飛ぶといっても風に乗って吹いて行く…という感じで、だから強風の日を狙って飛び立つのだという。
そのため、よく第一発見場所として挙げられるのが「ベランダ」や「窓」とのこと。つまり、風に吹かれて飛んできた羽アリが着地した場所…というわけである。あと、水場が好きなので「風呂場」「トイレ」「キッチン」に出現するとのこと。

…だからキッチンのシンクにいたのか。しかし、ということは、我が家の場合、第一発見場所が「キッチン」だったから、ここのどこかに巣食っているってこと!?

慌てて台所内を捜索してみたけど、羽アリが出てきそうな穴は開いていないし、巣らしい箇所はどこにも見当たらない。

…ということは、窓か!

そうだ窓を開けていた。網戸はしていたけど、羽アリはわずかな隙間からでも侵入してくるそうだから、きっと窓と網戸の間からスルリと入ってきたのだろう。

私は家の外に出てみた。
キッチンの外側を見てみると、コンクリートを打ってある床のところに、羽アリが大量に落ちて死んでいた。
「ひぇーーーーー!」
多分、風に乗ってやって来たものの、かなりの強風だったから、外壁に激突してそのまま落ちて死んじゃったのだろう。私は羽アリの死骸をホウキで掃き集めて捨てた。

…しかし、ここにたくさん落ちていたということは、家の中でわいたものではなく、外部から入って来たもので間違いないだろう。風の向きから行くと、あれが怪しい…。

私はすぐ近くにあった「稲架掛けはさがけ」用の木の棒を積んである場所を見てみた。我が家の裏は、ご近所さんの土地で空き地になっている。ここにご近所さんは車を停めたり、田んぼの稲刈りをしたときに「稲架掛け」をするための長い棒を保管していた。以前は毎年使っていたそれらの棒を、最近は田んぼをやらなくなったため使わず放置してあったのだ。

…もしかしたらこれかしら!?

と、しゃがみこんで確認してみたところ、地面に一番近い最下の棒にシロアリが巣食っていたと思われる箇所(=木がボロボロになって崩れている)を発見!奴らはここから外の娑婆の世界に出てきて、風に乗って飛び立ち、たまたま風向きがこっち向きだったため、我が家にやって来たんだな…と推測した。

ここまで突き止めることができて、私はホッとした。そして、その日の夜、仕事から帰宅した夫に話した。

このとき、夫は「そういえば…」と何やら思い出していた。夫曰く、以前、風呂場で羽アリを見たという。風呂場の身体を洗う所の床の上にバラバラと落ちて死んでいたとのこと。
実は、我が家の風呂場はご近所さんの稲架掛けの棒を保管していた場所のすぐ真横である。この時はおそらく風向きが風呂場の方角だったんだろうな。それで風呂場の窓から侵入したのだろう。夫も「気持ち悪い虫だな」とギョッとしたらしい。だけど、まさかシロアリだとは思わなかったとのこと。

次の日、ご近所さんに事情を説明した。現場を見てもらって説明したところ、すごく恐縮されて、「実は以前から気にはしていたんだけど、なかなか始末できなくて、本当に申し訳なかった。教えてくれてありがとう」と言って下さり、早速、半日かけて大量の棒を処分して下さった。

久しぶりに掛けてあったトタンを外して棒を出してみたところ、シロアリが食い尽くしていてボロボロだったそうな。長い棒はチェーンソーでカットして、全てのものを軽トラに積み込み、処分場へと運んでいかれた。

…うん、これで一安心だ。

それにしても…。奴らは次の住処を我が家と定めて、アタックし続けていたのだろうか。いやいや勘弁してほしい。同居も共存も無理だってば。
とんだひと騒動だった。だけど、あの日たまたま私がキッチンに居て、羽アリが飛んできたタイミングですぐに発見できたからよかったのだ。実際に目にした感触として、あまり気持ちのいいものではなかったけど、運よく発見できて、ある意味ラッキーだったなぁと思った。
あとは我が家に住み着いていないことを祈るのみ。

皆さんも、どうぞお気をつけて。


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