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観てよかった……

映画「THE FIRST SLAM DUNK」鑑賞。
そこで、感じたことをそのまましたためようとポメラを開く。

!CAUTION !~お読みいただく前に~


・あくまでも一個人の見解です。お読みいただく際は自己責任でお願いします。
・誰目線やねんという箇所もあろうことかと思いますが以下同文。
・ネタバレもでてくるかと思いますが以下同文。
・この映画に関するすべての情報を網羅しているわけではないので、事実とは違う誤った箇所もあるかと思いますが以下同文。

それではレビューを。

<観る前>


去年の頭あたりに、スラムダンクのアニメ映画が制作されるということを知った。
原作からのファンである自分は、それとなく楽しみにしていた。
だが、詳しい映画情報はギリギリまで明かされず、直前でキャスティングの発表。
賛否両論……というか、テレビアニメのキャスティングそのままを願う人の声が大きかったような……
でも、その発表を知ったとき、自分的にはすんなり受け入れられた方だと思う。
確かに、テレビアニメ版の声優様方は今となってはベテランの(当時からベテランの方もいらっしゃいますが)魅力的な方々ばかりで、自分も好きな声優様がいらっしゃったので、そういった点ではそのメンバーでのキャラのお声が聞けないというのは残念ではある。
だけど、そのことと今回の映画でのキャスティングを否定するのはまた違う話だ。
今回の映画は、脚本、監督ともに原作者である井上雄彦先生ということで、細部にまで井上先生のこだわりが反映されていることだろう。
キャストも、オーディションで井上先生直々に決定されたようなので、原作者の持つイメージがここにも反映されているということだ。
また、ギリギリになっても映画の具体的な内容などに触れることなく公開の告知のみがなされていくのも、余計な先入観を持たずに鑑賞して欲しいという思いがあってのことかな、と(勝手に)受け取っていた。
ただ、ストーリー自体は、原作でもクライマックスの山王戦、ということだけを知り、どんな風に描かれるのだろう、と公開を素直に楽しみに待った。

<観た後>


……うん、総じて、井上先生はこういうことが表現したかったのか、と感動した。

◆作画やビジュアル的な表現


映画が始まり…ええ?ヌルヌル動く…って、3DCGは最初は意外で違和感があった。その後オープニングのアナログの線画は井上先生らしいなと思ったが、本編はまた3DCG…そこはアナログというか肉筆にはこだわらないのか?と腑に落ちず。だけど、見続けているうちに、試合のシーンは臨場感があり、スポットを当ててているキャラ以外の動き…相手選手や観客などの動きもそれぞれあって、実写に近い表現をするのに適しているからか、と納得した。
(下記ちょっとネタバレ…といっても山王戦はもうご存じの方がほとんどでしょうが)
試合終了間際に放った花道のシュートボールが入るか否か、の瞬間……BGMもなく、静寂の中ボールの行く末だけを見守るシーンは見事だった……

◆ストーリーについて


原作とは違った視点で、この映画用に書き下ろされたシナリオ。
※以下結構ネタバレなので一応改行。


宮城リョータ視点。
原作やテレビアニメでは、あくまでも花道が主人公で、その周りの湘北メンバーの思いやらは必要に応じて絡めている、という感じだったけど、今回の映画ではリョータの生い立ちから、家族の思い、バスケへの思い、同級生の三井やゴリ()やメガネくん()との関係や思いを丁寧に綴ってある。
一年生コンビの花道と流川は、試合の大事な場面では出てくるが、リョータにとっては数ヶ月かそこらの付き合いしかないので、この映画の中ではほぼモブっぽいのは仕方ない。そりゃそうだね。
最後まで観ると、リョータにとって山王戦は通過点で、でもバスケプレイヤーとして貴重な経験をしたワンシーンであることがうかがえる。
やっぱりアヤちゃんは大事な存在だね…
そういえば、予告で公開されていたワンカットで、浜辺で座って海を眺める女性の後ろ姿、あれはアヤちゃんじゃないかという憶測が飛び交っていたようだけれど、実はリョータの母親だったね。

花道が主役の原作では描かれていなかったけれど、宮城リョータにも人生があって。
同じく、赤木や三井、木暮にも歩んできた道があって、先へと続いている。
ファンの間では映画続編の可能性が囁かれているが、井上先生が今後もキャラそれぞれにスポットを当てたいと思っているのならば、実現する可能性は高いだろうな。
その場合、また同じ山王戦だろうけれど、視点が変われば表現も変わる。
スポットを当てたキャラの思いによって、同じ試合でも見え方や感じ方が変わってくるだろう。
それを楽しむのもアリだと思う。観る方も、創る方も。

◆キャスティング

違和感なし。
そもそもテレビアニメ版と比較してはいない(別物として捉えていた)ので、特に気になることもなく、キャラに合ったお声だった。

◆ここからは邪推


多分、テレビアニメしか知らない、もしくはテレビアニメからスラムダンクを知った、という方にとっては、今回の映画はイメージとはかけ離れたものかもしれない。
だけど、自分のように原作漫画から読んでいた者にとっては、井上先生らしさというものを感じられ、満足する映画だと思う。
これは本当に勝手な想像、憶測でしかないが、井上先生がジャンプで連載していた頃には表現しきれないでいたものを、今こういう風に形にしていっているのではないか、と感じた。
連載中は読者に受けるように、とか、担当編集との打ち合わせの中で作者自身の思うようには事が進まないこともあっただろう(他の漫画家先生でもそういった話は伺った事がある)。
失礼ながら当時やりたかった事に対してご自身の力量が及ばなかったり、状況が許さなかったりなどの諸事情でできなかった事を、時を経て経験を重ね培ってきた今現在の技術を持って、協力してくれるスタッフで環境を整えて実現させようとしているように思えた。今ならできる、と。
もしくは、今できる全てを以て、井上先生の原点ともいえる「SLAM DUNK」に再び向き合ったのかもしれない。当時叶えられなかったことを実現させるために。

◆我が身を振り返る(おまけ)


自分はだいたいそうなのだが、観客としてはもちろん、モノづくりの端くれとしてもこの映画を鑑賞していた。
ここはこうやるんだーへーみたいな感じ。
同じ事実でも話者が変われば印象が変わる。
エピソードづくりや物語の手法の参考としても、いい刺激になった。
で、自分の思うように表現できる環境が整っていて協力してくれるスタッフがいるっていいね、羨ましいね…
そういうことが実現できる力量があることも含めて、羨ましい。
庵野監督のシン・〇〇シリーズもそう。
好きでやってるよね。(言い方が乱暴)
才能と、努力と、巡り合わせ(運)、これらが揃ったからだろうな。


……ということで、とっちらかっているかもしれないが、「THE FIRST SLAM DUNK」を観て感じたことを書き出してみた。
観てよかった。
この調子でそろそろ「バガボンド」も再開してください、井上雄彦先生……待ってます……


……ではでは、ここまでお読みくださいましてありがとうございました!

2022.12.23 あゆた絵弥


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