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フジロックに行ったカメラ女子 019

トークが終わると、グリーンステージに戻った。
グリーンステージでは、友人が友人を呼び、大所帯になっていた。
エルレを前の方に行って観るか、友人の友人の海外話でも聞こうかしらと考えていた。

いざ、友人たちがいたであろう場所に戻ると、なんと、イスがないのである。
そして友人たちもいなくなっていたのである。
私は軽くパニックに陥った。
「友人たちとは別行動だったから、いなくてもしょうがないとして、イスを片付けるなら、せめて一言は連絡をくれるだろう。」
「せめて私のイスくらいは発見しなくては。」
「緑のヘリノックス...。」
「ない!」
「あれ?この辺だったよね?」
「ない!」
「っていうか、私のヘリノックス、どれ?」
へリノックスとは、持ち運びに便利な超軽量のイスである。
私の持っている黄緑色のヘリノックスは、多くも少なくもない。

10分くらい探し回っただろうか。
その間、おそらく何度も自分のイスの前を通過していて、自分の持ち物以外を記憶していなかったため、それと確信が持てないでいた。
大袈裟だけれど、この時は絶望した。
絶望したが、冷静になるために、少し遠まきから自分のイスがあるはずの場所を観察した。
すると、どこかで見覚えのある顔を見つけた。
「あの人、知ってる!」
そこに賭けるしかなかった。
ガシガシ近付いていくと、見覚えのあるイスが置いてあり、その人も友人の友人として先ほど知り合った人であった。
神に見えた。
思わず、普段ではありえないくらいのテンションで、助かった旨を伝えた。

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