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【脳波解析】アーチファクトの除去

概要

 「Analyzing Neural Time Series Data Theory and Practice」(Mike X. Cohen and Jordan Grafman)のChapter8をベースに、アーチファクトを除去するにはどうすればいいの?という疑問について、勉強していきます。
前回のノートはこちら↓

独立成分分析(ICA)

 ICAとは、全ての電極に重み付けし、データをいくつかの独立成分に分け、分析することです。これは、データの整理、アーチファクトの抽出に使うことができ、電極が多いほど多くの成分に分けられます。ただし、これは信号とノイズを見分けるものではありません。実験に適した方法で成分を抽出し、アーチファクトや⼩さい信号の成分と認識できたものだけ取り除くのが良いでしょう。

眼球運動/EMG(筋電)を含むトライアルの除去

 眼球運動のアーチファクトの特定には、ICAか回帰分析を使⽤します。 ICAの方がいいらしいのですが、何でかはよくわかりません。理由をご存知の方教えてください。眼球運動によるアーチファクトのみを減衰させることは可能で、特に、瞬きは、⽐較的除去しやすいアーチファクトです。瞬きは、視覚刺激の認知や実験結果に直接影響を与えるので場合によってはトライアルを除去した方がいい場合もあります。瞬き以外の眼球運動については、アイトラッカーまたはEOG(電気眼球図)を 用います。アイトラッカーがない場合はEOGでいいのですが、EOGはマ イクロサッケードを検出できないため、アイトラッカーの⽅が理想的です。また、マイクロサッケードを最⼩化するために、視覚刺激を⼩さく短時間で提⽰しましょう。
 筋電(EMG)については、短期間で20-40Hz帯に認識されます。計測時に、継続的にEMG が⾒られる場合には、被験者にリラックスするよう促します。また、EMGは実験設計によるところが⼤きく、継続的なEMGはICAで成分分析できます。さらに、リファレンスや⾒たい部位によって、眼球運動の有害さは変わってくるため、実験デザインを確認しましょう。

タスクパフォーマンスによるトライアルの除去

 タスク指示に剃っていないパフォーマンスとは、どのようなパフォーマンスを指すのでしょうか。応答がない、指示に正しく従っていない、または、応答が速すぎる/遅すぎることがあげられます。具体的には、押しボタン式の場合200ms以下/ 中央値から3SD以上離れている場合は、タスク指示にしたがっていないということができます。また、休憩/タスク変更直後のトライアルも、タスク指示に従っていない場合があります。

手の筋電反応に基づいたトライアルの除去

 誤った部位の動き (痙攣(twitch) など)が、純粋な誤答と似た表れ方をしてしまうことがあります。そのため、(硬めの)反応ボタンを扱うことで、筋肉の使用を促し、EMGデータの質を向上させることができます。また、⼿のEMGを計測する時は、親指は筋⾁が太いため、親指を用いて測るとEMGが⾒易くて良いです。一方、ボタンを押すのは他の指が良いです。

エッジアーチファクト

 エッジアーチファクトについては、こちらの記事をご覧ください。

その他アーチファクトを最小限にする方法

 その他、アーチファクトを減らすためにやれることとして、まず、被験者を訓練することがあげられます。具体的には、データの重要性を被験者に事前に伝えましょう。実際のEEGをリアルタイムで見てもらうことで、瞬き、首や肩の動き、表情の変化などが、どのようにデータに影響するか伝わるでしょう。また、EEG にはノイズがのることを伝え、その原因を具体的に被験者に説明します。さらに、実験中にもデータに目を配ることもアーチファクトを減らすのに役立ちます。少なくとも30秒に一回はデータに目を通し、アーティファクトなどを見つけたら実験を一旦止めても良いです。この際、被験者のストレスを軽減するなどして原因を抑えます。



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