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そごう・西武のストについて

そごう・西武がスト決行した。

百貨店業界はそれぞれの店の利益は出さないが売上を公開する習慣があるが、それによれば、「西武池袋本店」は売上高国内3位を誇る日本を代表する売上を持つ百貨店である。

また、千葉・横浜・広島の各店もそれぞれの地域を代表する百貨店であり、素人考えであればこれほどの優良店を抱えていればインバウンド需要が戻ってきた今なら経営に苦労することはないように思える。

しかし、現実はそごう・西武全体では4年連続の赤字でかつ3000億円の負債を抱えるお荷物であり、売却話が持ち上がったときには「もはや底地の不動産しか価値がない」という声まで上がる始末であった。おまけに今般の売却ではセブン&アイがそごう・西武に貸し付けてある900億円を債権放棄までするという。

同業者の労組や、左派文化人や左翼活動家に至るまでがストライキを支援すると表明してるが、子役時代の安達祐実ではないがそごう・西武に必要なのは「同情や支援ではなく金である」と言わざるを得ない。

ストライキがその効力を発揮するのは、資本論にあるような教科書通りの資本家が搾取しているときだけであり、今回のケースではむしろ逆効果にしかならない。

そもそも、セブン&アイは、コンビニにしろスーパーにしろ不動産を持たないことを徹底した「持たざる経営」で成長したが、一方百貨店は、得てして戦前からの暖簾と建物や土地がまず根幹にある「持つ経営」の権化とも言ってもよく、同じ小売業でもその本質は水と油であり、そもそもなぜ買収したのかという話にすらなってくる。

実際、買収以後は縮小均衡一辺倒で、外野からはセブン&アイの百貨店経営能力を疑う声も多々あったが労組は全く声を上げていなかった。

なら、よそに売却して損切りすればよかったのであろうというのは素人にもわかることで、セブン&アイの経営陣がその結論に至らなかったとは考えづらい。

実際H2Oリテイリングにそごう・西武の売却話を持ちかけたとも言われてるが、「関西で手一杯」と神戸店と高槻店しか引き取られなかったという噂もある。

今回の問題の本質は、誰にも売れずに、自らも商えない物を買ったばかりに、価値ばかりが毀損し続け、物言う株主に追い立てられて、労組はもちろんのこと、自治体やテナントなどのステークホルダーに全く根回しをせずにファンドへの売却という強硬策に打って出ざるを得えなくなってしまったのが真相であろう。

そもそも池袋駅も老朽化が進んでおり、他の駅は大規模な建て替えが進んでいるが、池袋駅は未だに再開発の話すら無い。百貨店の存廃というそれ以前の話に拘泥しているうちはどんどん地盤沈下が進まざるを得ないのではないか。

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