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弱さを知ると強くなる

家に帰ると、夫は昼休憩でいつもの昼寝をしていた。起きてきたのか起こしたのかは忘れてしまった。
「子宮頸がんの検査引っかかっちゃったー」
どんなリアクションだったも忘れてしまった。
「がんの一歩手前のところで、もう一回精密検査しないといけないって」
一通り話をして、深いため息をついてハグをした。それだけは覚えている。
「でも大丈夫だよ」
と言って、この時もまだ気丈に振る舞えていた。

精密検査の予約は、病院を出てすぐに電話をかけて取ってあった。
先生の指名や女医がいいなどの希望はあるかと聞かれたが、心中それどころではない。最短で取れる先生でとお願いし、取れたのは3日後。
…この3日が長い、とてつもなく長い。早くしないと病気が進行してしまうのではないかという不安が日に日に増してくる。こんなにのんびりしていて大丈夫なのか…Googleで検索してみようか…という考えが頭をよぎる。いや、怖くてとてもできない。病院に検査結果を伝えた上で、3日後と言われているんだから大丈夫に決まっている。そう何度も言い聞かせてみたり、それを夫に同調させたりしていた。検査前日、不安はいよいよピークに達したが、もう明日じゃないか、今日も明日も変わらないよな、と半ば諦める形で、長く静かな3日目の夜を過ごした。

2022年4月7日。検査当日。
受付から、問診、院内案内、全てが心地よく、安心して待合の時間を過ごすことができた。番号を呼ばれ診察室に入ると、白髪だが若々しく品のいい先生が柔らかい話し声で迎えてくれた。
まず初めに、改めて、病状の説明を受けた。最初の病院では聞いていない、より詳しい説明だった。私が今回受けた結果である〝HSIL〟というのは、さらに検査することで、その重度である〝中等度〟〝高度〟〝上皮内がん〟のいずれかであると判断できるのだそう。中等度なら、簡単な手術で治癒することがほとんど、高度の場合、15%〜20%ががんに進行する可能性がある、上皮内がんの場合、90%ががんとなりうる。というものだった。望み半分の一方、がんの可能性もある。
この時はあまり動揺しなかったように思う。もうとにかくやるしかない、進むしかないのだから。
この3日間の不安な日々は私を少しだけ強くしていたようだ。

さぁ、今度は検査結果まで2週間。どこまで強くなれるのだろう。


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