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キングオブコントの会 実際どうなの?

「小さな疑い」「クリーニング店」「クイズ番組」とやっぱりコントって面白いなと感じたキングオブコントの会だった。
その中でもとりわけ異彩を放っていたのが、脚本・松本人志さんのコントだった。

【おめでとう】

松本さんの20年ぶりのコント1本目は「おめでとう」だった。何やら楽しげな雰囲気の中で始まったコントだがしかし、松本さん以外誰もが何がおめでたいのかがわかっていないという狂気。その軸がコントの最後まで一気通貫していることにより視聴者に疑問を持たせたままコントは続くのだ。それと同時にこのコントには自由な発想ができる土台ができている。おめでたいことというだけの縛りで次々と芸人さん達が自分の世界観を発揮させる。つまり、このコントのいわゆる箱を作ったのが松本さんの脚本の強みだろう。さらに、細かいところをみてもその凄みがわかる。ボケの数の多さにボケの幅の広さや奥行きに至るまで超一流なのだ。そして、大切な間や空気だが、東京03の飯塚さんのツッコミにより徐々にグループ感が出された。あの爽快感は松本さん然り飯塚さんのツッコミから生み出されたものなのだ。

【管理人】

「おめでとう」とは対照的に二人コントという制約がある中でバイキングの小峠さんとのコントだった。これはキングオブコントの会で唯一の二人コントだった。明太子をプレゼントするためにドアを開けてほしい管理人さんとドアを開けたくない松本さんの対立関係が生み出すコントだ。ドアを開けないというもどかしさを軸にすることで私達視聴者は画面に釘付けになる。そして、ターゲットは狭く深く的を絞っている。これは小峠さんに対する信頼がなければできないことなのだ。

そして、注目すべきは後半の展開だ。松本さんはコントの評価をするときに度々こんなことを言う。「もうひと展開あった方が良かったかな」と。その展開がこのコントではあの回想シーンに当たる。今まで狭く絞っていたのが伏線だったように一気に世界観が反転して広がるのだ。そして、この回想シーンの手紙に松本さんからメッセージが込められているように感じた。

松本「ワタリドリの話覚えていますか?冬になると大陸から海を越えてやってくるジョウビタキ。先生はあのワタリドリのように自由に生きたいとおっしゃっていましたよね。でも私にはワタリドリが自由には見えなかった。抗うことのできない大きな何かから必死で逃げているようで。自分の居たい場所で好きな人と一緒に生きる。それ以上の自由があるでしょうか?もしも許されるなら次に生まれ変わったときには先生と…先生と…」

明太子のやりとりの後のこの手紙だからこそ、そのギャップで笑ってしまうが、これを文字で見たときにどう感じるだろうか?本当の自由とは何か。そして、多角的に物事を見て考える松本さんの論理があるのだ。

そして、静かなシャワーシーンを終え、最後にあの狭く深い世界に戻り大きな声量で怖がることによりコントのピークのフォーカスをそこに持っていくことで笑いを取るのだ。

【おまけ】

コントにおける女装についてだが、別に髭が生えてようが生えてなかろうがそこに文句をつけることはない。コントにおける女装はこの人が女性に見えるという最低限でいいのだ。一度考えてほしい。綺麗だから笑いが起きるのか、髭が生えてないから笑いが起きるのか。あくまで女性であるという一つの記号で存在していればいいのだ。

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