顕微授精の適応外実施について考える

こんにちは!
ぶらす室長です!

こちらは、e-Labメンバー限定記事です。
今回のテーマは「顕微授精の適応外実施」についてです。

国内の体外受精の治療周期数を見ると、顕微授精の治療数は体外受精(ふりかけ法)よりもかなり多くなっています。(下記図参照)

引用: ARTデータブック 2021

これは、男性の精液所見が悪い症例が増えている事も影響しているとは思いますが「医療側もしくは患者さん側が顕微授精を選択している」可能性が高い、いや、絶対そうに違いない!と思っています。

日本産科婦人科学会の見解による顕微授精の適応は
下記の通りです。

「男性不妊や受精障害など、本法以外の治療によっては妊娠の可能性がないか、極めて低いと判断される夫婦を対象とする」

「ふりかけ法以外で妊娠の可能性がない症例」というのはそこそこ珍しい症例と思います。

これ、守られていると思いますか?
ほぼ、守られていないと思っています。

つまり、多くの施設で顕微授精は適応外で実施されている事になります。

しかし、しかし不思議な事に、できれば顕微授精を実施したくないとする患者様は多いはずです。

顕微授精による児への先天性異常や発達障害のリスク増加は近年話題となり、それらを解説した私の記事もとんでもない閲覧数読まれています。

なぜ、リスクが増える可能性があるのに顕微授精を選択する患者さんや医師・胚培養士が多いのでしょうか?

その理由と事情について考察していきたいと思います。

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