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受精卵のステージによって凍結のダメージは違う?

【ご質問原文】

いつもありがとうございます。 
培養2日目、3日目、胚盤胞になってからなど凍結するタイミングで受精卵へのダメージは異なるのでしょうか? 胚盤胞での凍結が1番ダメージ少ないなどありますか?

【回答】

ご質問ありがとうございます。

胚盤胞が最も凍結融解によるダメージに強いと言われています。

理由はいくつかありますが、細胞の体積と数です。

凍結を行う際には、細胞の中の水を脱水し、凍らせた時に結晶化しない溶液(耐凍液)に入れ替えを行わなければいけません。

この水の脱水と耐凍液の入れ替えは、細胞の体積が大きいほど入れ替わりにくいと言われています。

細胞一個あたりの体積は、卵子が最も大きく、胚盤胞が最も小さくなります。
そのため、胚盤胞の方が凍結ダメージが小さいと言えます。

もう一点の細胞の数ですが、これは単純に受精卵の中に凍結融解操作でダメージを受けてダメになった細胞があった時に、細胞の数が少ないとその意味合いも変わってくるという事です。

例えば、8細胞のうち、2個の細胞が凍結ダメージによって死滅してしまったら、胚の25%が死滅したことになります。
一方で、細胞数が100個の胚盤胞で5個の細胞が凍結ダメージによって死滅してしまったら、胚の5%のみが死滅したことになります。

後者の方が影響が小さい事がわかるかと思います。

最近では、胚盤胞の中ではさらに拡張の違いで凍結ダメージが異なる事が言われていて、これはまた別の理由なのでそのうち解説します。


最近のガラス化凍結液やプロトコールは優秀で、卵子であっても90%以上の生存率を誇るため、理論的に差があるとはいえ、実際はそこまで気にされなくても良いかと思います。

以上です。
ご参考になれば嬉しいです。

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