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不良胚のPGT

【ご質問原文】

いつも私たちに沢山の情報を有難う御座います。勉強になっています。 。

さて、私は先日採卵手術をしてpgtaに出したいと思っています。 11個取れ9つ受精しました。

しかし6日後、医師から「5BCが3つ、5BBも1つある。 でも、BCは細胞を取ったら壊れるかもしれないからpgtaに出せないかも」と言われました。 

個人的に調べてみたら、BCでもPgtaに出してもらえた方も見つけました。 BCでも壊れやすい物とそうでない物というのがあるんですか?それとも、その病院(の培養士)の技術なんでしょうか?

年齢の事もありますし、気力的にだんだんと疲れてきていたので、これを最後の採卵手術と決めています。 

一つでも多くpgtaに出せたら出したいのです(もちろん出してもAや移植可能なBの判定が出る可能性はなさそうですが、 、泣)

お忙しいとは思いますが、解答をお願い致します。


【回答】

ご質問ありがとうございます。

BC胚の中には、PGTが難しい胚とそうでない胚があると言えます。
なぜかというと、胚盤胞の形態評価には幅があり、C評価の中にも細胞数に差があるためです。

まず、PGTを行うためには栄養膜細胞(TE)の細胞を最低でも5個以上(最近では10個)は採取しなければいけません。

胚盤胞のガードナー分類の形態評価は内細胞塊(ICM)、TE共にA、B、Cの3評価で、それぞれ細胞数の多さで判断しますが、「Aは細胞数が何個」というような明確な定義はありません。

そして、TEのC評価の考え方ですが、どこまでCと判定するかは施設間差があるとしても、TE細胞数が5個未満でもC評価、TEが15個でもC評価といったように同じC評価の中でも細胞数に幅があります。

前者の胚からPGTのために細胞を採取しようとするとTEの細胞全てを採取しないと検査に出せないので、採取後の胚盤胞は形態を維持できなくなる可能性があります。

このように、同じグレードでも細胞数に幅があるので培養士の技術うんぬんよりも、胚側の影響の方が大きいと思われます。

また、採取した細胞数が少ないと、一つの細胞あたりの染色体のウェイトが大きくなるため、検査結果が実際の胚の染色体と異なってしまう可能性も高くなると考えられます。

不良胚でも正常な染色体の胚は含まれますが、TEがC評価の胚は、検査するかどうかを医師と相談し、よく考慮された方がよいと思います。

以上です。
ご参考になれば嬉しいです。

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