胚盤胞の凍結までの時間と質
【ご質問原文】
いつも勉強になるおはなしをありがとうございます!
胚盤胞になってから十分な大きさになり凍結するまでの時間が短い方が良いとは思うのですが、今回胚盤胞になった時間は98時間だったのですが、凍結されるまでに20時間もかかっていて大きさも178といつもより小さめでした。
凍結までに20時間というのは時間がかかりすぎでしょうか??
また胚盤胞(拡張中胚盤胞) の大きさも心もとないですかね?
胚盤胞までは勢いよく育ったのにその後失速しているような気がしてしまっています。
【回答】
ご質問ありがとうございます。
胚盤胞になってから、凍結までに時間がかかった理由は2種類考えられます。
1 拡張に時間がかかった
2 凍結するタイミングが合わなかった
の2点です。
1、拡張に時間がかかった
拡張に時間がかかったことにより、凍結までに時間がかかった胚は、場合によっては質が低い可能性はあります。
胚盤胞形成から拡張するまでは早い方が妊娠率が高いという報告があります。
また、拡張が遅くなった胚は収縮と拡張を繰り返している場合があり、収縮を繰り返した胚は妊娠率が低いことが報告されています。
2、凍結するタイミングが合わなかった
凍結するタイミングが合わなかった場合ですが、これは勤務時間や業務などにより凍結が遅くなってしまった場合です。
胚発育は勤務時間などを考慮しないため、胚盤胞になり、凍結できる大きさまで拡張した時間が、培養士の出勤時間前だったり、他の業務で手や場所が空いていなかったりした場合は、凍結するタイミングが遅くなってしまう可能性はあります。
この場合、凍結までにかかった時間と胚の質とは関係がありません。
では、胚盤胞になった時間と胚盤胞形成から拡張するまでの時間は、どちらが早い方が良いか?というと、
タイムラプスのスコアリング機能であるKIDSCOREは、おそらく胚盤胞になった時間を優先しています。
どちらも関係あるのですが、どちらかといえば胚盤胞になった時間の方が関わりが強いと言われています。
ちなみに、今回のケースの胚盤胞形成が98時間は少し早い方で、凍結までそこから20時間というのは平均的で特段遅くないです。
これが、40時間とかになるとトタンに妊娠率が下がります。
トータルの培養時間は118時間で、これも平均的で理想的な5日目の培養時間です。
大きさが178μmというのも、決して小さくなく妊娠率が低いサイズではないです。
以上です。
ご参考になれば嬉しいです。
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