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正常胚移植か、2個移植か


【ご質問原文】

はじめまして。 いつも大変参考にさせていただいています。

5年間不妊治療しています。昨年からpgt-aのため連続採卵を続けて胚盤胞を10個検査に出し正常胚を2つ確保しました。

これまで10回以上移植してきて、化学妊娠は1度で他は全て陰性でした。 

陽性の際は2個移植でしたので、正常胚2個移植を希望しましたが、1個づつしか戻せないとのことで正常胚1個を移植しましたが、今回陰性となり落ち込んでいます。

室長の6回連続陰性の考察という記事の回答で「胚の染色体異常は着床はするものの流産が増える印象なので、これが原因と確定できるものではないです。」と回答されていました。

医者で着床しないのは胚の異常と言う方もおり、その言葉にすがりpgtを続けて来ましたが、私も室長のおっしゃるように着床できる方は正常胚ならうまくいっている印象です。私は着床が本当に難しいのだと思います。

残り1つの大事な正常胚をこのまま戻すのはやはり無謀と思われますでしょうか。
また採卵を繰り返してpgtなしの2個移植をした方がいいか悩みます。

ERpeakや慢性子宮内膜炎、不育症の検査は済んでいます。どんなことでも参考にさせていただきたいので私見で結構ですのでご意見頂戴できますと有難いです。

【回答】

ご質問ありがとうございます。

正常胚を移植しても妊娠しない症例は、我々としても悩ましいです。

もちろん、正常胚の妊娠率は100%ではありません。
およそ60〜80%くらいと言われています。

言い換えれば、20%は妊娠しませんし、妊娠しても流産してしまうケースもあります。

また、医師の言う通り染色体異常を有する胚が着床しづらいのも事実です。

正常胚移植でも妊娠、出産しない原因が何かは個々の症例によると思いますが、今回のご質問者の場合も難しい症例ですね。

以下より私見です。

個人的に、SEETや2段階胚移植の有効性については懐疑的なのですが、胚と子宮内膜のクロストークは確かに存在すると思っていて、胚由来の因子が子宮内膜に作用している可能性はあると思っています。

胚の因子が弱い、又は子宮内膜側の胚由来因子の感受性が低い場合は1個の胚ではクロストークが上手くできずに着床に至らない事は考えられると思います。

その場合、胚を2個移植する事で胚由来因子の作用を増強する事で着床に至るケースもあり得ると思います。

ただ、今回のご質問者様のケースがそうなのか、PGTの正常胚1個移植よりも、2個移植の方が妊娠への近道なのかは、正直全くわかりません。

多胎のリスクも含めて、医師とご相談頂けたらと思います。

以上です。
ご参考になれば嬉しいです。

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