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46番目の密室 感想


KAAT 神奈川芸術劇場 大ホール
10/22(日)マチネ 千秋楽

真面目な感想

脚本や演出など

原作未読!舞台初見にして千秋楽!

まずお話として面白かった。トリックや複雑な人間関係、ぎくしゃくとしていて不穏な空気が漂う幕から、強烈なトーンの変化、劇的展開が繰り広げられる1幕終盤、犯人捜査を主軸としミステリらしい2幕、そして謎解き。超王道展開でありながら、犯人を気にせずにはいられない。

今回、舞台の大道具転換がすごく多いなと思った。人が殺されてから、部屋の中が露になるというのは、「46番目の密室」というタイトルから密室を期待する観客にとってある意味期待を裏切るというか。もう個室が密室である必要性はないから登場人物の行動を全てみせますよー!誰が犯人か考えてね!という意図を感じる。
二幕以降のわざわざ屋根と煙突を大道具として出しているのが、視覚的にトリックの種明かしを理解させやすくしていて良いなと思った。あの煙突を覗き込むくだりがあるから、最後の種明かしでプロジェクションマッピングに表れても、え、なにそれ知らないんだけど。にはならない。
あとは謎解きパートで屋敷から飛び出して林の中で行うというのが、舞台も思いっきり転換することで開放感を出していてよかった。犯人が分からない息苦しさと屋敷の圧迫感があるセットから、2階などの高さがないシンプルな木々に変わったことで、謎解きへの期待が高まる。

あとはやっぱりワープロのプロジェクションマッピング。ちょっと残したままなのが最初は違和感だったけど、慣れてくると台詞の補助にもなってみやすい。外国語上演のオペラを観ている気持ちになった笑
ただこれは演出特有のミスの露見の仕方だなと思ったのが、上に書かれてある台詞と微妙に異なる台詞で言ってしまった時に間違えたなってバレちゃう。謎解きシーン、アリスがワープロを打ちながら犯人について説明するところで、

「推理小説家の2人の間」(表示)→「2人の間」(発音)

になってしまってた。当然聞いていれば普通はまったく気にならない、修飾語のミスなのに、台詞が台詞として表示されて、しかもリスニング可能な母国語であるという点で「間違えたな」と分かってしまうのが恐ろしかった。

追記:フォロワーさん情報によると全公演この発音だそうです。ミスじゃなくて人為的なものなのかな。

だとしたら、何で元の文章から変えたのかより気になるところ……!五感のよさとかかな?アリスの一人称視点の台詞は小説を書いている/読み上げているととっていたのでそれが違うってなると、その解釈には綻びが生じてしまう気もして、でも方法のとり方が見つかるかと言うと、うーんうーん……

一方で、やはりクライマックスのシーンで全ての文章を消していく場面には鳥肌が立った。ある意味映画的というか、観客が消えていく文字を見ながら今までの場面を思い出して走馬灯のように駆け巡っていくことを意図しているのかな。小説家・有栖川有栖というストーリーテラーによって46番目の密室が語られ、闇に葬られるという事実が表面化していて面白い。

開演前に劇場内で鳴っていた音楽がグレン・グールドのバッハ ゴルトベルク変奏曲の第一番、しかも1981年のゆっくりバージョンでお?殺人にぴったり、いかにもな選曲だな、レクター博士か?と思ってたら作中で丁度言及されててオタクにっこりしました。
あと煙突内の言葉「凡庸なる〜」も何だっけ凄い聴いたことある気がする……!!と思ってたらアマデウスでああ〜〜!!!!!となりました。大好きな映画だ!有栖川先生とまじで趣味が合う最高。天才になれなかったサリエリが天才モーツァルトに嫉妬して殺人に近いことを犯すという構図が、今回の事件とぴったり重なって面白いなぁと思いました。



音楽について

実は今回、私の中であんまりハマらなかったです。褒めてないところがあるから嫌な人は飛ばしてください……!

そもそも、これをミュージカルにするという意味が何処にあるのかが疑問に思った。ミュージカルあるあるとして、歌が入ると心情吐露の役割を果たすことが多い。だけど、元々この人たち歌なしでも(ストレートプレイ)でも結局同じ台詞を言わない?と思ってしまった。音楽が入ることである程度エモーショナルにはなるけど、なくても十分舞台として成立してしまうくらいそもそもの脚本の力が強い作品だなと思いました。
それはそうと、全員歌が上手いんよね。安心して聴いていられる。
でもその中でも特に良いなと思ったのが3曲くらいあるのでピックアップ

1.アリスと火村の出会いのシーン
思い出として語っているこの場面で、歌として言葉が紡がれることでどんどんアリスが火村という人物に惹き込まれているのが伝わってきた。歌詞が身体部位を一つ一つ褒めていたのが、恋人や愛おしい人に送る昔のソネット的なアプローチで、更に声色という感情が乗っかっていて良かったです。

2.犯人判明からの過去暴露
この歌、衝撃的な内容で終わった後スペースキャットになってしまった。復讐に燃える火が、山荘での火事、暖炉の炎とどんどん重なっていくのが美しいですね。豹変ぷりにドキドキしました。あと、このシーンの照明が、犯人を中心に十字架のようになっててオタクにっこり。

3.残された恋人側
咲花さんの高音が美しい。全てを知った上で、彼を愛している彼女の想いがせつなくて、儚くて、純情で、感動しました。

不真面目な感想

以下あたまのわるいオタクの感想

やたさん!
顔が濃い
彫りが深い
鼻が高い
声が低い
美しい
美しい
美しい
歌が上手い
コンパクトサイズ
かわいい
大股の歩き方、ターンの時にキュッ!って音を立てて回る方法がやたファウストを思い出す
客降り近い
ちょっと脇を曲がってくれたありがたさ
大好き
美しい
美しい
歌が上手い
目が大きい
瞬きしてくわっ!って開くの好き
ビブラートの音波やばい
子音がはっきり聴こえてニコニコ
まじで出ずっぱり
殴られて苦しむ演技で心臓が縮む
痛そう
大丈夫?
大丈夫そう
関西弁うまいなぁ
タバコ吸うの!?イメージなさすぎてびっくり
いざーさんと並ぶと小さくてかわいい
何気にカテコでお話するやたさん初めて見た
矢田悠祐ってこういうこと話すんだ
えーんシリーズ続いてくれ〜!!!


楽しかった!ありがとうございました!!

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