魚の自然誌を読んだ

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小さいころから水溜まりとか池なんかがあると、魚がいないかな?とつい覗いてしまう。そこに赤いのなんかがちらちらしてたりすると、とても嬉しかった。
魚の、しなやかな動き。姿形の美しさ。
それに水中という別世界に生きている、ということが不思議で魅力的だ。
湖や川に大きな魚影がある、というだけでなんか楽しい。
宮本輝の泥の河に出てくるお化け鯉の話も好き。
大きな魚がいるかもしれない、というの、ロマンがあっていい。

というわけで魚の自然誌を読んだ。
本屋さんで、なんて素敵な装丁だろう、とたまたま手に取って開いてみたら、私がこれまで読みたかったような魚の話がたくさん書いてありそうだったので思わず買ってしまった。

魚とは何か、から始まり、魚たちの進化について、体色について、発光する魚や毒を持つ魚について、群れの解析、食事、太古の魚たち、魚が発する音、思考力について。目次を見たとき、全部面白そうって思って、やっぱりどの章も全部楽しかった。

エッセイ調で書かれてあるので読みやすく、著者のヘレン・スケールさんが実際に海に潜ってみてきた魚たちの様子がようく書かれてあり、一緒に潜っているような調査しているみたいな気分になる。
いろんな国の魚にまつわる伝承が章の終わりごとに書かれてあったり、挿絵もすべてすてきで、カバーを取るとまたすてきだった。

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かわいい。

章扉の挿絵も全部素敵だった。挿絵の魚種一覧なんかも載ってて嬉しい。
随所にこだわりが感じられた。

いろいろと興味深い話がたくさん出てくるので、その度にネットで検索してみたりしたんだけど、このアマミホシゾラフグの産卵のために作る巣作りの様子は映像をみてどひゃっと感動した。

私も実際に潜ってみつけてみたい。

それとこれまで考えに及ばなかったんだけど、魚たちはたくさんの音を発するらしい。第二次世界対戦中に、米国海軍が水中マイクで遠くの船の音やスクリューの音を聞こうとして、海の騒音がひどくて聞き取れず思ったように探索が進まないというところから調査が始まって、どうも騒音のほとんどが魚たちが発する音だということがわかったのだとか。

海の中で魚たち、そんなに喋ってるんだ!とこれも聴いてみたくなり、参考文献に記載されていたサイトにアクセスしてみたけど、どこにあるかよくわからず、結局Youtubeでみつけた。やっぱり魚の音に関するものはあんまり見つけられなかったけど、これはとても分かりやすかった。

主に浮袋を使って音を出しているみたいだけど、歯を使ってたり頭蓋骨や胸鰭を使ってたりなんかもあるらしい。
魚たちが音を発してなんらかのコミュニケーションを取っているということは、こちらの船や潜水艦などの音も、魚にとって相当不快というか、いろんなことの妨げになっている可能性があるみたい。でもまだそのあたりははっきりしてはないようだ。

魚の雌雄についての話もとても面白くて不思議な感覚になったし、いろんな魚の数が乱獲やサンゴ礁の死滅の影響でどんどん減ってきていることもよくわかった。興味深い話ばかり。

まだまだ魚の生態の不明がたくさんあることも知れた。

そういえば、魚の自然誌を読み終えた日に、さかなクンちゃんねるでも魚の生態についてさかなクンがちらっと話してた。

深い深い海、水中にはまだまだわからないことがたくさんあるんだと思うと胸が踊るね。

面白い話をたくさん知れて、ますます魚が好きになった。

エマル


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