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教会旋法〜ヘクサコルドの前に知っておきたいこと〜: 第3旋法は止まれない

とある日のミサのこと。リハーサルで、「今回の入祭唱は長いので、詩篇唱を歌ったら、アンティフォナに戻らず終わりにしましょう」と橋本先生が聖歌隊に指示を出していました。

それで聖歌隊がアンティフォナを歌い、続けてカントールの方が詩篇唱を歌いましたが、そこで終わらず、聖歌隊はアンティフォナを再度歌っていました。

聖歌隊が「あ、つい歌っちゃいました」「なんか曲が続くような感じがして」「第3旋法は止まれないですよね」と口々に言っていたので、詩篇唱を歌ったらアンティフォナのキリの良いところまで歌うことになりました。

「第3旋法は止まれない」の言葉にハッとしました。
教会旋法の各旋法には特性があり、一般的に第3旋法には「怒り」「嘆き・悲しみ」「興奮」といった特性があると言われています。ですが、聖歌隊のふと発した言葉が、いちばん第3旋法の特性を表しているかもしれないと思いました。毎週のミサで歌っている聖歌隊は理屈ではなく、本能レベルで旋法を感じている。

教会旋法について一般的な楽典では、各旋法のスケールとドミナント(支配音)とフィナリス(終止音)が書いてあるだけで詳しい説明はありません。教会旋法の講義を受講すればヘクサコルド(6音階名)も含め詳しく学べるのですが、知識を入れるだけになりがちです。そして日本の国立大学では特定の宗教に関する学科を設置でず、教会音楽専門の学科がないので、教会音楽について体系的にかつ専門的に学んで学位を取ることが難しい状況です(アウグスティヌスの研究者が文学部や哲学科や比較文化学科などに所属していたりします)。そのため、教会旋法を体に落とし込むには、典礼の場にできる限り行くしかないように思います。しかし、それは容易なことではありません。日本だけでなく世界中でも。

教会旋法を学ぶ、グレゴリオ聖歌を知るには聖歌隊に入るのが一番だといろいろな方に言われました。しかし、あの場所にふさわしい声を作るのにどれだけの訓練をされているかを知ってるだけに、また、長い年月をかけて聖歌隊に入ってこられる方も多くいらっしゃり、私にはまだふさわしくありません。教会音楽科の本科が終わって専攻科が終わったら、ようやく入れる資格があるかも・・・という感じです。

ミサではいろいろな旋法の曲が歌われるのですが、最近、第3と第4旋法はほかの旋法とは異なることに気が付きました。ミサの中で拝領唱だけ第4旋法ということがあったのですが、ふわふわさまよう感じで、他の旋法がきちんと終わるのに、この曲は終わらない感じがしました。そして第3旋法は他の旋法とは明らかに様子が異なる。

「2年近くミサに与らせてもらって、ようやくそんなことに気が付いたんですよ。」と教会音楽家の大先輩に言ったところ、「きっと10年経ってもわからないことだらけよ~」と笑い飛ばされました。そうですよね〜!これからもリハーサルから隅っこのほうで門前の小僧のように聞かせてもらいます!