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瀬戸芸放浪記2022 〜豊島編その2〜

昨年にはなりますが、3年に1度開催される『瀬戸芸2022』に行ってきました。
今回は前回に引き続き、豊島編のパート2です。
特に瀬戸芸に関連するわけではありませんが、豊島にある豊島美術館に行った
ことを中心に書いていこうと多います。とにかくこの豊島美術館が最高だった
ので、この興奮を共有したくレポートしていきます。

『豊島美術館』 

豊島美術館へ向かう道

豊島美術館へは、港から少し移動しなければなりません。少しと言いましたが、ほぼ島を横断するくらいの移動です。途中にも瀬戸芸のアート作品がいくつかあるので、観覧しながら移動することができます。(自転車が大活躍します。)

そうしていると写真にあるように一気に視界が開けた景色が全面に広がってきて、その右下に目的の豊島美術館が見えてきます。(この開けた景色も絶景です。)

美術館内の散歩道

美術館はコロナの影響もあり、完全にネット予約で事前に入る時間帯を予約する必要があります。受付を終えると、中庭のような場所を通って、写真にあるような遊歩道を歩いて、豊島の自然や景色を楽しむことになります。この遊歩道を通過して現れてくるのが豊島美術館の唯一の作品『母型』です

もう一度言いますよ、唯一の作品『母型』です。

母型外観
母型外観

そうです、この美術館にはこの作品1つしかありません。
この巨大なアート作品は芸術家『内藤礼さん』と建築家の『西沢立衛さん』によって制作された作品となります。とにかくコンクリートの打ちっぱなしの巨大が建造物が目の前に現れてきます。「え、これだけ、これだけのために美術館名乗っていいの?」という素朴な疑問は置いておいて、実際にこの建物中に入ってこの作品を鑑賞、体験することになるのです。

母型内部
母型内部
母型の足元に流れている雫
母型内部 開いている穴から紐のようなものが

内部には、靴を脱いで入ります。入っての印象は皆さんが思い思いにこの空洞の中で座っていたり、立っていたり、寝転がっていたりと自由に佇んでいて、何か聖地巡礼の殉教者のような厳かな雰囲気で存在します。そしてこの建造物には大小2つの穴が空いていて、そこからは周りの自然や空が覗いています。なんとも神秘的な空間ですが、足元には、所々小さな穴が空いていて、そこから一雫づつ水滴が出ていて、その雫がコンクリートの床をゆっくりと流れて、雫同士が合流を繰り返しながら少しづつ大きな雫となって最後は中央にある大きな水たまりに合流していくのです。

その様子を皆さんが静かに、本当に静かに眺めているのです。このアート作品の名前の通り、まさにみんなが母の体内の中に戻ったような感覚に捉われます。本当に不思議な感覚です。そして、水滴の流れは生命の誕生から、それが少しづつ大きくなって最終的に生命体になっていく過程のように思われてきます。(あくまでの個人的感想です。)そして、大きな穴はその外界との繋がる入り口であり、出口のように思われるのです。

この空間自体が、ある意味では宇宙のようにも感じられ、まさに有機体の誕生と発展にも感じられるのです。宇宙とは、生物とは、生とは、死とは。。穴からゆったりと垂れ下がっている紐は風に吹かれゆっくり揺れています。その様子は、へその緒のようでもあり、外界とを内側を繋ぐハシゴのようにも感じらます。入るまでの「これで美術館?」と思っていた自分が、「もうこれだけでお腹いっぱい」となるぐらい多くのインピレーションを与えてくれるのです。

鑑賞した日は晴れていたので、学芸員の方に雨の日はどうしているのか聞いたところ、雨の日もやっているとのことで、「晴れの日とは違う印象で人気ですよ」とおっしゃっていました。雨に日にも絶対に行きたいと強い感情が湧いてきました。

この作品を見終わって、出た少し先にもう少し小さい建物があって、その中が売店になっています。基本的に作品の中では撮影ができないので、その売店で買ったパンフレットの写真を使わせて頂きました。この売店も小さな『母型』のようになっていて、この中で撮影しているお客さんもちらほら見かけました。

まだまだ、豊島だけでも多くの瀬戸芸作品があるのですが、それはまた次回の機会にご紹介させて頂きます。それでは。    

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