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10年先を見据えた飼育

※こちらの文章は、2023年11月19日開催の「爬虫類フリマ&交流会」の中での講演の内容になります。
文章が講演ベースで作成されており、読みにくい所もあるかもしれませんがご容赦ください!


今回は「10年先を見据えた飼育」というテーマでお話します。これは、爬虫類以外にも言える事ではあります。

さて、まず少し問題提起みたいなのします。

世の中には、いろんな爬虫類が居ますね。で、それぞれに飼い方のマニュアルがあって、みんなそれを真似たり、自分なりにそれをカスタマイズして飼育してますね。

「自分は、その爬虫類を飼えてます」と言えるかどうかって、どれくらいの期間飼育してからでしょうか?

今日、飼ってる爬虫類に餌を上げました。食べました。「今私は爬虫類を飼ってます。」

一週間後、いつも通り飼育してます。個体は元気です。「今私は爬虫類を飼ってます。」

1ヶ月後、飼ってます。一年後、飼ってます。

一年間死にませんでした。これって、たぶん、温度も湿度も間違えてないんだろうし、たぶん、飼育出来てると言えば出来てるんだろうなと思いますよね。

じゃあ例えばレオパ。マニュアルに寿命が15年くらいって書いてあります。今一年間飼ってます。はい。みんな今飼えてます。

じゃあ15年前に飼われたレオパ、今どれくらい生きてそうですか?SNS上に、15歳以上のレオパって、どれくらい居ますか?

実際は、15年も生かせてないんですよ。ほとんどのレオパが。

じゃあ、なんで生きてないんだ。
なんで死んでるんだ。
でも2、3年飼ってる人はいくらでもいる。つまり温度や湿度を間違えてるんじゃない。マニュアル的な環境に問題があるんなら、一年以内に死んでる。

飼えている。でも寿命まで生きていないってどういう事???。

マニュアル通りに何年も飼ってる人の家の爬虫類は、事故死はしにくい。人間であれば、事故死以外だと死ぬときは寿命か病気。で、おそらくほとんどが寿命では無い。となれば、病死???

今皆様がどれくらいの年数爬虫類を飼ってるのか分かりませんが、もし、今「飼えてる」なら、次の事を考えなければいけません。

それは、「病気を予防する飼育」です。

つまりそれは何なのか。

我々人間を例に考えればいい。
今、寒いですね。乾燥もしてきた。風邪を引かないように注意して生活し始める頃ですね。

風邪を引かない為に、我々人類は何をしますか?
手洗いうがいをしたり、加湿器を置いたり、栄養価の高いものを食べたり運動して睡眠とって免疫力が下がらないようにしたり。

こういった予防的な観点でのやり方は、人間だろうが爬虫類だろうが、さほど変わりません。

風邪を例に上げましたが、飼ってる爬虫類の命を奪う病気は、風邪みたいに症状の分かりやすいものではありません。

有名なのは、代謝整骨疾患。いわゆるくる病ですね。
これを予防する為に、餌にカルシウムを混ぜるわけです。

実際に死に至る病だと、内蔵に何かしら問題が出たりする事が多いわけで。それって、結構重症化してから気付くんですね。

で、病院に連れて行って良くなったりならなかったり。
良くなったとしても、また翌年に同じ症状が出て、薬が効かない〜なんて事もあるし。概ね傾向としてあるのは、

「一度病気になった個体は、程度はあれど数年以内にだいたい死ぬ」という事です。

これって、病気になったらもうドンマイ!みたいな事ではなくて、

その年病気になるまで、すこーしずつ何かがズレていってるって考えなければいけないんです。
それが、栄養なのか、環境なのか。

で、ゆっくりと、だけど確実に、ズレていってしまった何かが病気を引き起こし、その病気を治療したとしても、ズレてしまった根本的な原因が解決してないとか、かんたんに修整出来ないから結局近いうちに死ぬと。

つまり、爬虫類を長生きさせたいなら、
レオパを15年以上飼いたいなら、

病気にさせない事。

で、病気にさせないためには、

マニュアルより先の健康維持を考えながら飼育しなきゃいけないんです。

その例として、分かりやすいようにまた人間で例えます。

皆さん子供の頃、給食の飲み物は牛乳でしたね?
なんで牛乳ばっか飲まされたのか。白いご飯に牛乳。あわないあわない!
それでも牛乳を飲まされてたのは、カルシウムを採るため。それは皆知っている。
でも大人になってあんなに毎日牛乳飲まないですよね。

実は、人体の骨密度を決めるのは、成長期のカルシウムの摂取量と言われています。

子供の頃にどれだけカルシウムを採れたかで、その後の人生の骨密度が決まるというデータがあるそうです。

なので子供の頃に骨スカスカだったら、大人になってから牛乳飲みまくっても、骨はあんまり強くならないらしいです。

つまりこれは、5年後、10年後、はたまた50年後に道端で転んだときに、大怪我にならない為に牛乳を飲まされてたんです。

これが、今回のテーマである、「10年後を見据えた飼育」という事です。

我々が、自分の飼っている爬虫類を、2年後3年後に発症する「かもしれない」病気から救うには、

今すぐに環境を改善しなければいけません。

ただし、そこに病気の兆しもなんにも無い。改善って言われても、間違ってるかどうかも分からない。種類差もあるし個体差もあるし。病気の可能性って無限に存在するし。

だから言うは易し。実践するのはあまりにも難しい。


それを、少しでも実践する為に皆様にこれからオススメするのは、

「実際にペットを長生きさせている人の飼い方をよく観察してください。」

あわよくば、その人とお話もしてほしい。
自分の飼い方との小さな違いを見逃さず、先人たちが今、その飼い方をしている理由をしっかりと理解してください。

なぜそのランプを使っているのか
なぜそのシェルターを使っているのか
なぜその床材を使っているのか
なぜその餌を使っているのか

そして、自分の飼い方と比較して、良いと信じた方法を実践してください。

その方法が合っていたかどうかは、5年後、10年後にしか分かりません!が、やっていくしかないのです!

以上です!

少し余談にはなりますが、このテーマにそって、少し毒を吐きます。

SNS等でたまに見る、飼育2-3年の人の「飼育の画期的なアイデア」は、基本的に信用しないでください。
だいたいは、先人たちによって実践された上で不採用になったアイデアです。

例えば、フトアゴヒゲトカゲの床材。誤飲などの事故が怖い!とか、掃除しやすい!という理由で、ペットシーツで飼育している方をよく見ます。

アレ、長期的に使用すると、フトアゴヒゲトカゲの指が変形します。歩き方もおかしくなっていきます。で、正常な動きをしなくなった指は重度の脱皮不全を起こします。

これは、長期的な目線での飼育から逸脱した飼い方の典型的な例です。

このような、「よく見る駄目な例」は、他にも沢山ありますので、飼育方法を決めるときには注意しましょう!

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