【詩作日記】　「異国の出来事 / 時差」

「時差」

時に悩む
時差って何なのだろう
東京は現在夕方６時だけど
どうしても昼前にしか感じられない

最初の長いフライトで
時間を越えてしまったが
今になってもまだ
その差を感じられない

それなのにパソコンの時計は東京のまゝ
時計が狂っているようにしか思えない

文字盤が二つある腕時計をしている
上はイスタンブールの時間
下は東京の時間
今必要なのは上にある文字盤
下にある文字盤は今
何の意味をも為さない
これだけ時差に順応できるのは
どうしてだろう
東京よりも時間が遅れているのか
モスクワ到着で
一悶着あったからなのか
それとも
ＣＡがあまりに美人だったからなのか
自分では理屈の上であり得ぬ事が
いとも簡単に起こっていることが不思議だ

時間は地域ごとに変わっても
自分の時間は結局
変わらないものなのかも知れない

「時差」　詩集「異国の出来事」より
１９９７年イスタンブール行きＳＵ５０３便にて　２０２１年再推敲