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【詩作日記】「異国の出来事 / トルコの月」

「トルコの月」

初めて月を見たのは
三日目の晩のことだった
月は僕の運命を見守る守護星

満月が煌々と夜空に青白き穴を開け
やゝ右手に
金星を従えていた
この国の象徴も月
国旗も三日月
至る所で三日月を目にし
*ミナレットの先端も
よく見れば三日月
月とゝもに
この国は生きている
月に護られて生きる身には
親しみを一層感じていた

月とゝもに生きる
定めにあるが故か
月を見ると心安まる
しかし様子が少しおかしい

日本の月の
兎に見えるあたりが
端の方に寄せられ
白く光る部分が
気のせいか多いような気が
しないでもない
同じであって違う月が
異国の空の上で輝いていた

夜中に目を覚ました
ユルギュップのホテルで
窓を開けて月を見ていた
外があまりに寒く
長くは見ていられないのが
とても残念だった
それでも満月は
にこやかに微笑むかのように
守護を求める僕の頭上で
煌々と輝いていた

*ミナレット
モスクにある細長い尖塔。4本以上あると王家のモスクである。


「トルコの月」 詩集「異国の出来事」より
1997年ユルギュップにて 2021年再推敲

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