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サーカスの猿と調教師.疑わない人=猿

サーカスの猿とか,某動物番組で出てくるお猿さんってかわいいですよね.猿の身体能力だからこそなせる技を人間が誘導して魅せる,見ていて楽しい気分になるエンターテイメントだと思います.


客が実際に見るのは猿と人が共同作業で手を取り合って演技している美しい姿ですが,そこに至るまでの過程で人間は猿に指示を出して,従わなければ罰を与えて,指示通り動いたら餌付けして,という作業を何度も繰り返していることは想像に難くありません.


一方で人間社会でもこのような猿と調教師の関係について,思い当たる節があります.先生と学生の関係です.特に中学校高校では,先生は熱心に勉強を教えます.たとえ生徒が嫌がっていても,宿題を出さなければ罵倒したり感情を前面に出して叱るなどして罰を与え,テストで良い成績を出せばみんなの前で賞賛します.先生=調教師,生徒=サーカスの猿,ということですね.この仕組みに上手く適応すれば,そうでなくてもそこそこに対応すれば楽しい学校生活になるでしょうか・・・.

ところが大学には「調教師」にあたる人物がいません.正確には,ちょくちょく見かけますが,高校では先生全員が調教師のようだったのに対して大学でその存在は少数なので,その存在が浮きがちです.大学の先生の本業は学生を教育することでは無く自分自身の研究を推し進めることなので,そうなるのは自然です.

このような世界に中学高校まで先生の言うことを聞いてその通りに行動してきた人達は,誰からも何も指示が与えられず,毎日どのように立ち回るのが最適なのかも分からなくなってしまいます.

こういう状況でありがちなのが,とりあえず一人は怖いのでサークルに入ったり好きなコミュニティに属して,大勢でワイワイ過ごすというパターンの立ち回りです.これが良いか悪いかは賛否両論有ると思いますが,このような大学生は多いと思います.

一方で最近私が見かけた学生で,このようなタイプがいます.すなわち,大学生らしく毎日遊び倒すのとは逆で講義にきっちり出席し,先生の話を聞いたり質問するなど,非常に熱心に勉強してはいるのですが,先生(=教授)に「何をやったらいいですか?」と自ら指示を求めるタイプです.「何を勉強したら良いか分かりません」「何をやったら実験が上手くいきますか?」「どの企業に入ったらいいですか?」「大学院に行った方が良いですか?」とにかく何でも聞きます.何を勉強したら良いかなんて,それは自分の好きな事や自分に向いていること,自分にできることは自分しか分からないにもかかわらず教授に聞いて教授の言うとおりにしようとする.中学高校で調教されすぎたせいか,大学という調教師がいない世界で自ら調教されようとするという不思議な人がいます.このような人も本当に多いです.


学校の先生や大学の教授が言うことはすべて正しいと思っているのかもしれませんが,そんなはずがない.毎日の生活のなかで何をするか決定権は自分にあるにも関わらず,決定権を自ら放棄して他人に委ねるのはサーカスの猿と同等だと思うのです.

研究の息抜きにコンビニの100円コーヒーを買いたいと思います.サポートいただけると幸いです.