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速報!FATFのトラベル・ルールのレビューはいかに?公表されたレポートから読み解く3つのポイント

7月7日、FATF(金融活動作業部会)は、2019年6月21日に正式に公表した勧告ガイダンス(トラベル・ルール)の準拠対応として設けられていた12ヵ月の猶予期間において、仮想通貨関連事業者(以下、「VASP」)や関連団体の進捗状況を評価するレビュー結果についてレポートを公開した。

交換業者やその他のVASPは、特にトラベル・ルールの準拠対応についてFATFの評価が気になっていたのではないでしょうか。本記事ではエリプティック(Elliptic)のリサーチチームが今回公表されたFATFのレポートにおける3つのポイントをご説明します。

ポイント① VASPは引き続きFATFのAML/CFTを遵守するため延長された期間において対応を進める必要がある

FATFレポートによると、今回、FATFの調査に協力した54 の法域のうち 35 の法域が現基準を実施しており、そのうち 32 の法域は暗号資産交換業者を規制対象とし、3 の法域は暗号資産交換業者の活動を禁止している。

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参照元:12 Month Review - Revised FATF Standards on Virtual Assets and VASPs P.8


 レポートは、こうした不完全なコンプライアンスの準拠状況は金融業界におけるFATFの取組を見損なうものだと強調している。
こうした状況を受け、FATFは2021年の6月まで準拠の対応期間を延長するとした。トラベル・ルールやAML/CFT対策の猶予期間が1年延長となったことに対して、VASPは安心していられない。FATFが目を光らせはじめると、多くの国や規制当局の要請を受けてこの1年間、導入が加速することになる。

ポイント② VASPはやはりトラベル・ルールを準拠するべく技術的な解決方法を模索する必要がある

2019年6月にFATFがトラベル・ルールのガイダンスを公表した際、VASP間における顧客情報を安全に共有する方法は実現可能なのか、業界において多くの議論が交わされた。

今回、FATFはこうした議論に対してはっきりとした回答を出している。

レポートによると、FATFは未だ解決されていない課題やハードルが残っていても「トラベル・ルール導入への技術的な解決策にあたって、進歩が見られた」と記載している。また、特に、トラベル・ルールが標準化されるような開発が業界の進歩に重要であることに言及し、国際的なコンプライアンスのために技術的なソリューションを採択するよう「VASPにその取り組みを倍増させるよう求めています」としている。

FATFは今回のレポートで、技術的に実現が不可能だという主張は受け入れず、VASPがトラベル・ルールを実装することを期待しているという、方針を明確にしました。

ポイント③ トラベル・ルールの導入は期日は2021年6月まで!

FATFは、延長期日とした2021年6月について「VASPは、グローバルにおいてトラベル・ルールを実装する(十分な)猶予期間を設けた。」と記載している。来年のこの頃までに、AML/CFT及びトラベル・ルールに準拠していることをVASPは証明しなければいけない。

AML/CFT対応についてはお気軽にエリプティックにご連絡ください。お問い合わせはこちらから。

今後、数週間に渡ってエリプティックでは、トラベル・ルールの海外対応状況や技術的解決について情報を発信していきますので、ご興味ある方は是非フォローをお願いします。

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