サイコパスな独裁者を止めるにはどうしたらよいのか?
前回、サイコパスを全否定するわけではないと書きましたが、これはどこまでもサイコパス気質の人の全てを否定しない、という意味です。
サイコパスはもともと凶悪な犯罪をしばしば連続で起こして、しかも反省の色が全くなく矯正が難しい人たちを指すものであったのが、その類型が反社会的ではない人の中にもいることがわかって、そういう人も含めてサイコパスと呼ばれるようになっている、という経緯があります。
なので単にサイコパス的人間は生きていてはいけない、というようなことを言ったなら、それはヒトラーの優生思想と同じになってしまう、という意味で否定をしないという話です。
ただし、自分の利益のために人を騙し人に危害を加えることになんら罪悪感も痛みも感じない人たちの行動は止めなければ被害者が増えるばかりです。
去年、日本でも多くの人を巻き込む放火殺人や電車内の殺傷事件など、全く理不尽な犯罪が起こりました。彼らもまたサイコパスではないかと思います。
そして今直近で止めたい犯罪者はウクライナに激しい爆撃を行なって多数の民間人を殺している独裁者です。
あの独裁者を止めることはできるのか?について今日は考えてみたいと思います。
中野信子さんの「サイコパス」によればサイコパスの反社会的行動の治療はかなり難しいそうです。
まずサイコパスの人には罰が効かない、というのがあります。普通の人ならば罰を受ければ次からやらないようにする人が多いわけですけど、彼らサイコパスはいかに罪がバレないようにするかにエネルギーを注いでより巧妙に犯罪をするようになる、というのです。この話はジェームス・ファロンの本にも詳しく出ています。
また、サイコパスは他者の痛みを感じる感受性がないに等しいために、人が苦しんでいることを見ることもなんら彼らを止める要素にはならないのだそう。
逆に相手が苦しめば苦しむほど、自分に有利になっていると感じるという脳の回路を持っている、ということのようです。より苦しめればきっと降参して自分の思い通りになるに違いないという風に。
もし他者に対する共感のなさを第三者から指摘され自分に不利に傾きそうになったなら、いかに相手の痛みに共感しているかを巧妙に演じることはできるのも彼らの厄介なところです。自分は十分相手の苦しみは理解しているけれど、もっと大事なことのために仕方なくやっていて本当は心苦しいのだというフリをすることなどお手のものです。なんといっても口がうまく人を騙すことには長けています。
もう一つ厄介なのがサイコパスの信者は一度信者になるとなかなか離れない、という傾向です。
オウム真理教の時も信者になってしまった家族が辞めさせようと思ってもなかなか辞めなかったし、麻原彰晃の犯罪が明らかになった後でさえ、彼を信奉する何人かは信じ続けていました。
そもそもサイコパスの餌食になりやすいタイプも存在するようです。プラスとマイナス、 N極とS極のような関係かもしれません。
自分が騙されていたことがわかったり、犠牲者の存在が明らかになったりしても信者であり続ける人が結構いるそうです。
これについて中野信子さんは著書「サイコパス」の中でこう解説しています。
実は、人間の脳は、「信じ続ける方が気持ちいい」のです。これもまた、集団を形成・維持する機能の一つと言えるかもしれません。
人間の脳は、自分で判断を行うことが負担で、それを苦痛に感じるという特徴を持っています。これは認知負荷と呼ばれるものです。
また、「認知的不協和」という現象もあります。人は、自身の中で矛盾する認知を同時に抱えて不快感(葛藤)を覚えると、その矛盾を解消しようと、都合のいい理屈を作り出すことが知られています。簡単に言えば、いったん「これは正しい」と思い込んだことが後から「間違っている」と証拠を突きつけられた場合、人間の脳は「言い訳」の理屈を考えだし、なんとか間違いを認めずに済むようにしようとするのです。
今のロシアの国民も多くの人がウクライナでロシア人が虐殺されており、彼らを守るためにロシアは戦っている、と信じ込まされているそうです。
外からの情報を遮断されて、自分たちが被害者である、攻撃は祖国防衛のために仕方なくやっていることだ、ということを心から信じている人がまだまだ多いらしい。
ちょっとやそっとのことでは一度信じてついて行った指導者が間違っていたなんて認めたらこれまでの自分はなんだったんだ!と、全否定しなければいけなくなり、それに耐えられない、ということなのでしょう。
それでも、自分たちがどれだけ一方的な非道なことに加担しているのか?ということに気がついてもらうことにしか希望はないのかもしれません。
自分たちの経済が悪くなることだけだと、被害者意識が高まるばかりの可能性もありますから、経済制裁だけだとなかなか効果が上がらないのかもしれません。サイコパスの信者はサイコパスと一体化したところに生きがいを見出してしまうからこそなかなか離れていかないのでしょうから。
実際、強烈な飴と鞭で催眠術をかけられた人のようにサイコパスの手足になって操られている人が周りを固めているのだろうと推測されます。幹部クラスになれば操られているというよりも、一緒に手を汚しているので、罪が白日のもとにさらされれば自分もどうなるかわからない、という恐怖もあるでしょう。
どちらにしても独裁者の化けの皮が剥がされ実態が一般国民に知らされることがこの悲惨な戦争を終わらせる、つまりサイコパスの犯罪を止める希望になるのではないかと思うのです。
ロシア国民に実態を知らせて目を覚ませてもらう有効な手段を誰か見出してくれることを願います。
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