湖畔 #虹のくじら

水辺にいます
こころにさざなみがたつと
この水辺に来ます
波のない　鏡のようにおだやかな水辺に立ち
こころの雑音を浸して　沈ませていく
びーびーぎゃーぎゃーいっていた雑音が静まり
うまくいかない！
と　かんしゃくをおこしていた
小鬼が
ぽろっとあたしから飛びでて
湖の底の
まあるい石を取りに
もぐっていった　さよなら
あたしは足をひたして
冷たい感触のなか
小魚が　指先の感覚をつつく
くすぐったいな さよなら
ハープの音　どこからか
そうよ　水辺とハープはなかよしだったね
遠い日の記憶と合致
ハープが飛んでくると　湖面の上
水草　伸びていき
ハープにまとわりつく
浮いているハープを躍らせる水草
ローズマリーの香り
漂って　音とからまりあって
深呼吸したあたしは眠りにおちた
起きたらおだやかな
平らでなめらかなあたしがいました
さあ 調律の水辺から
水色のワンピースにきがえて
あなたのところにむかいましょう
サンドウィッチをもって

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『虹のくじら（美術出版社）』に収録されている内容です。