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4月30日/ライラックの香りを、知っていますか

もうすっかり、春が世界に満ちています。

わたしの住むまちでは、
市の花であるツツジがそこかしこにあふれていて
こんなにうつくしいところってないでしょう、と
誇らしい気持ちです。

さて、4月27日から、和歌山の
Gallery&Cafe AQUAさんにて
「ネコと暮らす日常3」という
ネコをテーマとした公募展が開かれています。

絵画、立体作品、雑貨など… 33名の作家さんの
ネコ作品をたのしむことができます。

わたしがこの展示に参加するのは3回目です。

ふだんは風景やひつじを
描いていることも多いのですが、
この展示だけは、一緒に育った大切な
「はいいろのねこ」を描くことに決めています。

わたしのはいいろのねこ。
小学生のころから、おとなになるまで
一緒に育ち、暮らしたきょうだいのようなねこです。

この展示の準備の期間、わたしは
はいいろのねこのことばかりを考え、しばしば泣いて
(なぜなら、もうここにはいないので)
絵にこめる想いと向きあいながら、
制作していきます。

今回の展示作品のひとつ『また、いつかね』は
先日、出かけた花畑で写真を撮っていたとき、
ふと顔を上げればもう夕暮れになっていて
すみれ色に染まる花畑に心をうたれたとき
──ふとそこに、
はいいろのねこがいるような気がしたのです。

はいいろのねこは、はいいろの長い毛を
ほんのりすみれ色に染めて、
じっとこちらを見つめているようでした。

どうしてだか、わたしはそこへは行かれません。
わたしとはいいろのねこのあいだには、
ちいさな夕暮れを敷き詰めたような花たちが
ただ、風に揺れています。
そしてはいいろのねこも、やはり
こちらへ来ることはできないようでした。

いまはまだ一緒にいられない。
きっとしばらくは。

でも、また、いつかね。

ふとした瞬間にそこにいる、と思えることは
どんなに心強いことでしょう。

そのときの、はいいろのねこのいた花畑を
わたしは描くことにしました。

『また、いつかね』F4、オイルパステル、アクリル(下地のみ)、コルク板


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ふたつめの作品は、
「希望」の絵を描きたい、と思いました。

顔を上げて、前を向いて。
心がほんのりあたたかくなって、
あしたを生きていけるような。

希望というものは、どこにも
見当たらないように思えるときもあるけれど、
たいてい、わたしたちの心のなかや、
すぐそばにあるものから生まれたりするのです。

わたしのそばにある、希望を思い起こさせるものって
何だろう、と考えたとき、
それはきっと春ではないかしら、と思いました。

毎年、寒さがやわらぎ、
茶色だった世界が緑色になって、
たくさんの花があざやかに咲き出すと
──なんてすてきなんだろう、
ああことしも春に会えてうれしい、と
胸がじんとします。

そういえば、いつかの春に、
物語で読んだライラックの花の香りというものを
どうしても知りたくなって、
淡路島へでかけたことがあります。

わたしの住む関西には、
ライラックの花は少ないのです。

はるばる会いにいった、わたしにとって
「物語に出てくるお花」だったライラックは、
なんともいえないかわいらしいお花で、
香りはふんわりと甘く、すてきなものでした。

ライラックの香りを知って、
わたしはさらに
春をすばらしく いとおしいもののように
思うようになりました。

こんな春のなかにいたら、希望もきっと
顔をだしてくれやすいのではないかしら。

春へのときめく気持ちを、
希望への祈りにのせて描きたい。
そんな想いで完成したのが、この作品です。

タイトルは、この絵を見たひとも
同じ気持ちになってくれたらいいな、と思い
『この世界に春があってうれしい』と
素直な気持ちをそのまま題にしました。

『この世界に春があってうれしい』F6、オイルパステル、アクリル(下地のみ)、コルク板

春に包まれる、春に希望を想う…
そんな作品に仕上げられたかな、と思います。

こちらの作品は、展示させていただいている
Gallery&Cafe AQUAさんの
WEBサイトにも掲載予定です。
掲載がはじまりましたら、
またTwitterでご案内いたしますね。



次に出す展示は5月後半なので、
そのころにはもう
初夏の空気になっているでしょうか。

春は、一日一日がもっとゆっくり過ぎてくれたら
いいのに、と願わずにはいられません。

Ellie*

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