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ライアーライアー

宝くじが当たった。
それもかなりの高額。
何を買おうか思案しているが、欲しいものはあまりない。

同じ日の夕方、よく行くカフェの女性に告白された。
「僕は結婚してるんです」と言ったが、「それでもいいです」と言われた。
だから、交際することにした。
それから彼女とは週に一度は会っている。

翌日は、健康診断の日だった。
182センチ。63キロ。検査結果、特に異状なし。
問診では、「まるで20代前半の身体ですね」と褒められた。
医師の横にいた看護師には「松坂桃李に似ていますね」と笑顔で言われた。

帰宅すると、宅配便の不在票がポストに入っていた。
某テレビ局からの荷物だった。
再配達を依頼すると、届いたのは欲しかったオーブンだった。
毎朝見ている情報番組でクイズに答えていて、そのポイントが貯まったから応募していたのだが、見事当選したのだ。

夜になり、カフェの女性からメッセージが届いた。
「明日、休みだから会いたい」とのこと。
「いいよ」と言って眠った。

宝くじが当たったので、ひとまず旅行に行く計画を立てた。
海外にも興味はあるが、手続きが面倒なので、国内旅行にすることに。
一度は行ってみたかった場所をリストアップする。
出雲大社、沖縄、指宿などなど――。
行きたい場所のホテル(どれも高級リゾートホテル)を手当り次第に予約した。
来月、一週間くらい、旅に出る予定だ。

旅行の計画を立てた直後、スマホの通知音が鳴った。
見ると、XのDMに、レコード会社の担当者から連絡が来ていた。
「あなたの音楽をYouTubeで拝見しました。一度お会いしたいのですが」とのこと。
さらに同日、出版社の担当者からもメールが届いた。
「あなたの小説を拝読しました。あなたの作品【水色のラベンダー】が新人賞を受賞しました。つきましては、ぜひ一度お会いして、今後のことについてお話ししたいのですが」とのこと。
両者に電話をし、話を聞くと、いずれもデビュー話だった。
わたしは一日の間に、作家デビューと音楽家デビューの両方の夢を叶えたのだ。


――さて、いよいよ虚しくなってきたので、この辺にしておく。
そして、なによりも先に、まずこう言っておく。

僕のこと、ぶん殴っていいっすよ……。

わざわざ言わなくてもすでにお判りだろうが、これまで述べてきたことは全部「嘘」である。
真実は一つもない。虚しい嘘ばかりだ。バカみたいな妄想だ。

だけど、一度書いてみたかったのだ。全部「嘘」の記事を。
イラついた方、ごめんなさい。ぶん殴ってください、画面越しに。
バカだなと思った方、ありがとう。それは誉め言葉です。

そうです、わたしが変なおじさんです。
いや間違った、ライアー・エレパンです。
だっふんだ。

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