飲み会やデートに盛り上がる五大シャトーのうんちく

五大シャトーの中で最も女性的 シャトー・マルゴー

マルゴーは五大シャトーの中でも、最も女性らしいと言われているワイン。

美しいシャトーそのものがエチケットとなっており、静かにシャトーの長い歴史を物語っているようです。

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シャトーマルゴーの盛衰

長い歴史を持つシャトーマルゴーは、16世紀からすでにイギリスやオランダで流行り、不動な人気を手に入れていた。イギリスの初代首相ロバート・ウォルポールも、3か月で4樽という異常な頻度でマルゴーを調達するほど、大のマルゴーファンでした。彼が英語人エリートは高級ボルドーのワインを嗜むのが本物のエリートだというイメージを確立した人とも言われています。

また、ヴェルサイユ宮殿でも、マルゴーとラフィットと二分する存在で、ルイ15世の愛嬌ポンパドール夫人はラフィットを愛し、一方デュバリー夫人はマルゴーを気に入り、二人は競い合っていたという話はあまりにも有名です。

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1855年に始めたメドックの格付では、予想通り、マルゴーは第一級に選ばれた。しかし、そんなシャトーマルゴでも、多くのボルドーシャトーと同じ、苦難な時期を迎えることになります。ボルドーを襲うフィロセラー被害により畑はほぼ全滅。その後繰り返される戦争戦乱、マルゴーの経営は悪化する一方、評判は急激に落ちた。

そんなマルゴーを救ったのは、1977年にシャトーを高額な値段で買収したギリシャの大富豪アンドレ・メンツェロプロス、及び彼の娘であるコリーヌ女史による立て直しです。記念すべき1900年産のマルゴー、他のシャトーと一線を画す出来栄えで、マルゴーは復活したのです。

今ではわずか80名強の社員で100憶円の売上を作るシャトーに成長。最も少人数で100憶円を稼ぐ企業としても世界的に知られ、年間約30万本のワインを生産。

シャトーマルゴのセカンドラベル

そんなマルゴーは一本いくらぐらいで買えるのでしょうか?参考価格は約10万前後です。もちろん、グレードビンテージのものはもっと高値が付きます。なかなか飲めないワインだと思ので、セカンドラベルをご紹介します。

PAVILLON ROUGE DU CH. MARGAUX 

パヴィヨン・ルージュ・ドゥ・シャトー・マルゴー

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実はマルゴーは五大シャトーの中でも最も古くからセカンドラベルを作っている。今から100年前、ファーストワインの基準に満たないブドウを使用してセカンドを作っていた。今では、ファーストワイン用のブドウを使用し、パヴィヨン独自のブランドを確立しているほどです。

そのお値段は、約2万5千円!!

やっぱりたか~い!!

でも、シャトーマルゴーと比べたらだいぶ買いやすくなっているのも事実。マルゴーらしいシルクのような味わい、そして強いタンニンと豊富な果実味。40年は熟成できる優れた長期熟成型のワインです。

不動な人気 シャトー・ラフィット・ロスチャイルド

とりあえず人気者のラフィットの試飲会に行ったことがありますが、頭よさそうな戦略家という感じでしょうか。こんなに名門になってもハングリー精神を失わずに、いい畑を物色し続けていますし、マーケティングもしっかりしている。さすがですね。

ラフィットの盛衰

マルゴーの話でも出ましたが、ラフィットと言えば、ルイ15世の愛妾、ポンパドゥール夫人が溺愛したワイン。ヴェルサイユ宮殿の晩餐会で、「私はラフィットしか飲まない」と宣言したほどです。(Ellenも言ってみたい。。。)その後押しもあり、ラフィットは「王のワイン」と呼ばれ、名声を確立し、今となってもなお、「一級中の一級」として不動な地位を維持しているんですね。

しかし、そんなラフィットでも、あの害虫フィロキセラの被害から逃れることはできませんでした。ぶどう畑は全滅!! さらに戦乱による不況!!!ドイツ軍の略奪!!!!!ラフィットは苦難の時代を迎えることになりました。

しかし、当時ラフィットのオーナーは、金融業界のトッププレーヤーであるロスチャイルド家。彼の財力によって、1945年の終戦以降、シャトーの立て直しを一早く図り、名声の回復に努めました。

とはいえ、70年代のボルドーワインは不作により、ラフィットでさえも「水っぽい」と不評を浴びることもありました。品質が著しく改善されたのは、1982のこと。各ワイン評論家から、ラフィットのスランプは終わったと宣言し、ワインの骨格の強さ、濃縮さが評価されるようになりました。


ラフィットのセカンドラベル

そんなラフィット、実は日本の高度経済成長期にも便乗し、高級ワインの代名詞となるほど名を轟かせています。気になるお値段はいくらだと思いますか?

10万以上は確定です!!

どんな味がするかって?

Ellenの感想は、お花の香りがとても印象的、どこまで華やかなんだろ~とウハウハにさせられる香り。そして味は濃厚な果実味に緻密なタンニン!!いつまでも続く余韻!!これが10万の味か!!!!!と感激してしまいますが、初心者がいきなり飲んで分かるようなものではないかなと。(Ellenも完全に分かっていないと思う、うんうん)
でも実はラフィットのセカンドラベルも十二分に素晴らしいんですよ。や、セカンドの方が好きという方もいるかもしれません。

CARRUADES DE LAFITE  カリュアド・ド・ラフィット

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このセカンドはファーストと同じぐらい丁寧に造られる極上の一本なのです。名前の由来は1845年のラフィットが新たに購入した畑「CARRUADES カルーデス」とされています。

お値段は約3.5万円…まっったく安くないのですが、それだけラフィットの本気さが伝わってきます。ファーストラベルより、少し酸味があるエレガントな容姿。ラフィットに負けないぐらい高貴な香りでした。

芸術的なラベルのシャトー・ムートン・ロスチャイルド(ロートシルト)

ムートンと言えば、あの毎年変わるラベルですね。ラベルを手掛けるアーティストはピカソやシャガールなど一流アーティストの名を連ねます。

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こうゆうのってコレクターの心をくすぐるに違いない。ムートンのラベルを集めるため、オークションでコレクターは奮闘するんですよね。なかなかうまいやり方ですw

ムートンのユニークな歴史

ムートンは、もともとラフィットを所有していた2代前のオーナー、セギュール伯爵によって基礎作りがなされ、次のオーナーの継続な努力により1級に相応しい品質のワインになりました。1853年に、金融で大儲けしたイギリスのロスチャイルド家の一員の、ナサニエル・ロスチャイルドがムートンを購入し、今の名前となり、新しい歴史が始まりました。

しかし、ムートンが改名した2年後の審査、誰もが1級と信じていたにも関わらず、結果はまさかの「2級」!!後からの推測ですが、ナサニエルがイギリス人であること(フランス人とイギリス人は仲悪いのは有名です)、そしてナポリオンの敗戦を利用して富を得たことを、フランス人は不快に思っていたのではないかと。

その結果を受けたナサニエルは「1級になれなかったが2級には甘んじない。ムートンはムートンである!」という名言を残し、1級獲得に奮起しました。そこから、118年が経ち、ムートンは見事に1級へ昇格しました!
これが記念すべき1973年のビンテージです。

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その1973年のラベルには

「1級を獲得した。以前は2級であったがムートンは昔も今も変わらない」とフランス語で書かれている。(PREMIER JE SUIS, SECOND JE FUS MOUTON NE CHANGE)なんていう強さ、なんという自信!この一言に王者のオーラを感じませんか?

念願の1級を取り戻した。でも過去は2級だった事実は変わらない。その理由は何であろうと、2級は2級だ。しかし、2級でも、1級でも、ムートンは誇り高きムートンである。それ以上でも、以下でもない!!100年の月日を超え、全身全霊で誇りに思えるようなワイン造りをしてきただからこそ書ける一言だ。(もーかっこよすぎる!!!)

ムートンのセカンドワイン

そんなかっちょいムートンのお値段は約8万円前後。実はムートンは新世界にもかなり前から目を付けていました。カルフォルニアがまだワイン産地として知られる前から、カリフォルニアに進出した話も有名です。カリフォルニアワインの父と呼ばれているロバート・モンダヴィと共に、「オーパスワン」を生み出しました。

そんな時代の先端を走るムートンは、1994年より本格的にセカンドワインを生産。若い木のぶどうを使用し、ファーストと同じ作業で経たセカンドワインです。

LE PETIT MOUTON DE MOUTON ROTHSCHILD

ル・プティムートン・ド・ムートン・ロスチャイルド

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最初はそこまで評価は良くなかったのですが、2005年以降品質が良くなり、今では5代シャトーのセカンドワインで一番取引数が多い。平均価格は3万弱です。

最も長命で男性的なシャトー・ラトゥール

タンニンが豊富で長生きなイメージ、そしてパワフルで男性的。そのせいなのか、値段も五大シャトーの中で高いイメージですが、生産量がそこそこあるので、お金さえ出せば色んなところで飲めるワインです。

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ラトゥールの本当の味を知るためには、最低15年はかかると言われています。そして50年の熟成にも耐えられるワインです。それは、ラトゥールが持つ素晴らしいテロワールによります。ボルドーで最も優れた土壌と言われる土地がシャトーの近隣に広がり、そこで100年以上の樹齢を持つ木からなるブドウでワインを作っているのです。

そりゃ~も~、パワフルなタンニンと優雅さが兼ね備えたワインができますよね。

ラトゥールの歴史

1718年、「ワインの王子」と呼ばわれていたセギュール伯爵がシャトーを所有し、本格的なワイン造りを始まりました。格付以前でさえ、すでに他のシャトーの20倍以上の価格で取引された人気ぶりです。そして、格付制度が設立する際も予想通り、1級シャトーとして堂々のランクイン。

さらに1993年、グッチやクリスティーズのオーナーであるフランス大富豪の、フランソワ・ピノ氏がラトゥールのオーナーとなり、豊富な資金力をバックに、最新設備の投資が行われました。コンピューターでの室温管理や、特大タンクでの一度ブレンドなど、品質の安定化に成功しています。

そのおかげで、記録的な暑さだった2003年、多くのシャトーは水不足で嘆き、ワインが不作とされていた年でも、ラトゥールは適切な対策を行ったことにより、パーカーポイント100点のワインを産み出したのです。

まさに優等生・・・まだあるんです!

さらにさらに、ラトゥールは2015年から100%オーガニック醸造を行うことを発表。非常に手間ひまかかるし、生産量も減るというオーガニック農法。特に広い畑を持つシャトーの場合、膨大な経費が必要とされます。これは資金力では困らないラトゥールならではの試みかもしれません。とうとう2018年産からはオーガニックワインとして発売を行うことになりました。

どこまで完璧なのよ!!!!輝かしい歴史をそのまま走ってきた感じのワインです。

ラトゥールのセカンドとサード

優等生ラトゥールのお値段は10万以上します。そんなラトゥールは、ファーストワイン用のぶどうで、試飲判定で品質が不十分と判定されたものを使用し、セカンドを1990年から本格的に造り始めました。しかし、それでも高品質なワインであり、値段もまだまだ高く、最低でも3万です。

LES FORTS DE LATOUR  レ・フォール・ド・ラトゥール

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そして、セカンドラベルの水準に満たされなかったブドウを使用したサードラベルもあります。お値段は1万円ほど、やっと現実味が少し芽生えてきた値段帯。しかし、こちらはファーストの生産量の10分の1と言われており、やや希少です。

PAUILLAC DE LATOUR  ポイヤック・ド・ラトゥール

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ちなみに、ラトゥールのエチケットにあるシンボル塔ですが、14世紀の要塞として建てられたもので、シャトーの象徴として今もなお大切に保存されているようです。

白ワインまで高値取引されるシャトー・オーブリオン

いよいよ最後、五大シャトーの中でも色んな意味で別格と言われているシャトー・オーブリオンです。

オーブリオンの歴史

1855年メドックの格付制度ですが、唯一審査対象のメドック地区ではない、グラーヴ地区から1級に選ばれたシャトーがあります。それがシャトー・オーブリオン。1500年という醸造歴史を有するオーブリオンは、ヨーロッパ特にイギリスでその名声を広めていたことから、例外として認めたものです。

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五大シャトーはどちらかというと、若い時とても飲めない印象ですが、オーブリオンはグラーブ地方の土壌の関係で、柔らかくシルキーで若い時から親しみやすいと言われています。また、オーブリオンは特にイギリスで人気が高く、1661年イギリスの王室ディナーで169本のオーブリオンをサーブされた記録が残っています。そんな古い時代から今となっても、オーブリオンはイギリスのワイン評論家から高い評価を受けています。

フランス革命で当時のオーナーが処刑された後、所有者が定まらず転々とオーナーチェンジする苦難の時代がありましたが、1935年ニューヨークの銀行家クラレンス・ディロン氏がシャトーを購入したことがきっかけで、安定期を迎え、その孫娘ジョアンがシャトーを引き継ぎ、現在はジョアンの息子であるロベール氏がオーナーを務めています。

オーブリオンは赤ワインだけではない

メドックの格付制度は赤ワインのみを対象にしているが、オーブリオンは上質な白ワインも生産しています。「シャトー・オーブリオン・ブラン」です。

グラーヴ地区はメドック地区より気温が2,3度高く、白ブドウのセミヨンやソーヴィニヨンブランに適した環境でもあります。この白ワインはパーカーポイントの高得点を毎年得ていますが、生産量がわずか450~650ケースと非常に少ない。そのため、市場に出回ることが少なく、オークションで高値で取引される人気高い白ワインの一つです。

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まさに、死ぬまでに飲んでみたい白ワインですね~

オーブリオンのセカンド

オーブリオンの赤の平均価格約7万、白の方が高く10万ほどはします。赤は若い時から楽しめると言いますが、非常に濃縮していることは確かで、早めの抜栓や、ディキャンタージュが欠かせません。複雑なで官能的な香りと味わい、長く響き渡るパワフルな余韻が楽しめます。

そんなオーブリオンのセカンドラベルは約1.5万円と、五大シャトーの中では比較的に良心的な値段。

LE CLARENCE D HAUT-BRION レ・クラレンス・ド・オーブリオン

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オーブリオンのセカンドワインは17世紀」から造られていたとされ生産が最も古い。ファーストと同じ畑で取れた基準に満たないブドウを有効活用し、そのクオリティはロバート・パーカーも絶賛。

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以上、五大シャトーの話でした。

是非飲み会やデートにうんちくを活用してください。


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