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理科教育学を専攻していた学生(たぶんマイノリティ)が教育現場に出る際の「強み」と「弱み」

こんにちは。私は、かつて理科教育学を専攻していた学生でした。「理科教育学」というのは、「よりよい理科授業を行うためにはどうすればよいか」みたいなことを考える学問です。こんなことを安易に言うと「違えよ」というお叱りの声が聞こえてきそうですが…

大学や大学院で理科教育学を専攻する学生は、おそらくめちゃくちゃマイノリティだと思います。全国の小・中・高等学校の理科の先生のうち、一体どれだけの方が、「理科教育学やってたよ」と手を挙げてくださるでしょうか。教育学部で理科教育コースだったという先生であっても、「理科教育学」を専攻している方は少ないでしょうし(教育学部の理科教育コースの多くは、理学系の研究室や研究者で運営されています)、中学校・高等学校の先生であれば、そもそも教育学部外(例えば、理学部や工学部)から教員免許を取得されている方もかなり多いのではないでしょうか。

そんなマイノリティの理科教育学出身の私(現在公立中学校で講師として勤務)が、一体どれだけの人の役に立つのかわかりませんが、教育現場に出てきて感じた、「強み」と「弱み」について、以下に綴りたいと思います。なお、以下の内容は、私の個人的な感想の域を出るものではありません。

強み:授業づくり

理科教育学を専攻していた強みといえば、やはり「授業づくり」が挙げられるかと思います。

「理科教育学やってた」と言っても、様々な領域があるかと思います。しかし、「理科教育の目標論」、「カリキュラム研究」、「学習指導法開発」、「実態調査等の研究」など、様々な研究領域があれど、共通して『どのような理念で学習内容(カリキュラム)が編成されているのか』や『この授業で子どもをどこまで到達させればよいのか』などといった考え方は養われるのではないでしょうか。そしてその考え方は、そのまま授業づくりにおいても有用です。特に、授業づくりにおける「教材研究」では、教科書、主題となる自然事象、授業展開で必要となる観察・実験方法といった教材について、『どのような教育的価値があるのか』といった「解釈」を行うことが重要となってきます。その「解釈」の際に、先述した理科教育学研究で培われる考え方が、極めて有用となってきます。

弱み:観察・実験に関する具体的な指導や準備

理科教育学を専攻していた学生の弱み、これは完全に私の場合ですが、「観察・実験に関する具体的な指導や準備」が挙げられます。

「観察・実験に関する具体的な指導や準備」とはどういうことかといいますと、「器具の使い方」や「廃液の処理」、「安全指導」、または「薬品・事物の準備」のことを指します。

これは本当に困りました(今でも困っています)。これは私のすさまじい言い訳ですが、理科教育学は『「自然事象」を対象に「観察・実験器具を用いた」検証活動』を行う学問ではないので、私は、先述した「器具の使い方」等についてはほぼ素人です。しかし当然のことながら「観察・実験に関する具体的な指導や準備」は極めて重要で、これらを軽視すると、授業準備の不足、不要なヒューマンエラーの多発、最悪の場合は事故につながりかねません。私の場合、指導書、本、サイト、先輩の助言などに助けられながら、何とか授業を進めていますが、本当にわからないことだらけで精神的にもしんどいです。なので、教育現場に出ようと考えている学生の方は、研究の合間に、少しずつ「自分が授業するときには、どんなふうに実験準備すればいいかな」ということを勉強しておくのもいいかもしれません。いや、単にこれは私が勉強不足だったのでそう思うだけなのですが…(笑)

ちなみに、実験に関する理科の本は世の中多数あるのですが、私のように「実験ってどうすりゃいいのよ」という人間向けの本は意外と少ないような気がします。しかしそんな中でも、楠木宏先生の『理科授業の効率アップ術』という本は非常に参考になりました。本書は、小学校の理科授業を想定した内容となっていますが、中学校の指導においても非常に勉強になる点が多かったように思います。私のように「実験とか正直よくわからん」という方にとっては、「一読の価値あり」の本ではないでしょうか。

最後に

最初に述べたように、私は「理科教育学」出身の中学校理科教員(講師)なのですが、この4月から働き始めて、「理科の先生ってこんなに大変だったのか」と気づきました。本記事では、『理科教育学を専攻していた学生(私)の「強み」と「弱み」』について書きましたが、実際は日々「弱み」の部分と格闘するばかりです。『理科教育学を専攻している学生向け』のようなタイトルをつけましたが、とにかく一人でも誰かの役に立てればいいかなと思います。

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