最近ネットとアニメの距離が近くなり過ぎているという話
ネットの雰囲気や空気が変わったという聞き飽きた常套句だが同様にアニメオタク文化も変容してきているように思う。
特に今のアニメはとにかくネットと声優が前提だと印象を感じる。
いわゆる「アニメがネットのコミュニケーションツール化した」という話であり、日常アニメをSNSという空間で"共有"するだけの時代になったことは否めないだろう。
そしてそのあとに「声優」という名の実質アイドルを応援するための入り口に過ぎない作品が増えた。
ネットの声優についての話で「最近の声優至上主義はあまり好きじゃない、みんな結局三次元が好きなんだなって」と言ってる人がいたのだが、それに凄く共感した自分がいる。
二次元に萌えるという文化からアイドル感覚の声優を応援するためのツールになって、それをSNSで共感しあうためただの材料や素材になったのが今のアニメのように思う。アニメは本当はどうでもよくてそこに生じるコミュニケーションや流行が重要になった。
「ネット民ならアニメオタクで当然、嫁議論してナンボ」みたいな空気なくなって深夜アニメが全然話題にならなくなったのも、二次元を自分の嫁扱いすることがオタク文化の最先端ではなくなったからだろう。
アニメの話をするときに声優トークとSNSやまとめサイトというコミュニティが必須になってしまった。むしろ今時アニメを真面目に見てその世界にガチで傾倒する文化ではなくなってきている。
いわば2次元というアニメの世界ではなくみんなもう普通に3次元の世界にいる時代になってしまって、かつてのようなアニメ=理想の世界ではなくなったし壮大なアニメを作れなくなった。そしてそんなアニメを見る人もいなくなった。結局SNSの短い会話や一体感のレベルにはちょうどいい日常アニメの時代になった。
つまり最近のアニメファンの文化は二次元の世界がすべてというわけではなく、「声優」と「SNS」という三次元の世界に片足は残しながら半分だけ二次元の世界に使っているという時代になっている。
ガチで二次元に傾倒するような古典的タイプのオタクは減少しつつあり、それゆえに今のアニメ界がどうもコアではなくなってきている。
芸能人にしてもアニメにしてもゲームにしてもその理想世界よりも、そこに発生する副次的なコミュニティやコミュニケーションが重要視されカジュアルであることが求められる3C(Community Communication Casual)の時代になっている。
自分だけの理想世界の追求や傾倒よりも、距離感の近さや親近感を求めている。ある意味誰もが孤独になっている時代の中で"誰か"を求めているのかもしれない。アニメという架空の世界よりも、そのアニメを見ている仲間のほうが親近感を抱けるのだ。
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