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短編小説

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短編小説をまとめて。
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#短編小説

ニッポンてところは なかなかステキ (1)

『うちの敷地内で、怪獣が死んでいるんですけど』 【概要】  父親の唐突な思いつきで、アイ…

ニッポンてところは なかなかステキ (2)

          *  アイルランド暮らしのころ、ニッポンについての知識はほぼ皆無だっ…

ニッポンてところは なかなかステキ (3)

          * 「よく見れば可愛い顔をしているでしょう? 目なんかクリクリしてい…

おはよう、アカリ(1)

 チック、タック。  チック、タック。  頭頂を二度叩かれた目覚まし時計が、うつぶせになり…

おはよう、アカリ(2)

          *  あぁああ。  なぜわからなかった?  どうして気づけなかったんだ…

お別れの会を終えて (1)

『その探偵は、対象をひとめ見ただけで、犯人であるか否かを言いあてる』 【概要】  ロック…

お別れの会を終えて (2)

          *  へぇえ。そうなんだ?  そういうつもりだったんだ?  いいよ。別に。わかってたことだし。  当然覚悟はできてるのよね?  自分だけなにも失わずに終われるなんて、まさか思ってたりしないよね?  知ってるでしょ?  わたしのこと。  わたしがどういう女なのか、一番知ってるのはあなただもんね。           * 「鳥飼と、その同伴者の無礼な振る舞いをお詫びいたします」ややあってサービスヤードに登場し、登場するなり低頭平身して詫びてきた男性は課長

お別れの会を終えて (3)

          *  頭をあげて。  お願いだから、そんなことしないでよ。  みっとも…

古書堂の殺人 (4)

 古書堂前での禍々しい事件から一週間が経過した平日の午後、串間警部補は、百瀬奏多が借りて…

汚れた血 (1)

- Mauvais sang - 【概要】  消失した宇宙貨物船〈キャロ〉唯一の生存者、アガサ・ローナン…

汚れた血 (5)

          *  騙された。  気がついたときには、ジャック船長の乗る小型シャト…

リード

 レッド、  オレンジ、  クリーム、  ブラウン。  ランダムに配置された四色のレンガの中…

ねないこだれだ (1)

『わたしはきっとなにかを見落としている』 【概要】 調停の話しあいが終わるまでは会わない…

ねないこだれだ (2)

【 2 】 「マンションには来ない約束でしょう?」  やわらかな笑みを浮かべてドアチェーンを弄っている遼を睨みつけ、わたしは囁くように問うた。時刻は午後十一時すぎ。大きな声をだすと隣近所に迷惑であるし、なによりも眠っているトウマを起こしたくない。 「どういうつもり? どうやって中に入ったの?」  オートロック仕様のマンションに侵入する手だてを知らないわけではないが、遼を責めたいとの思いからあえて質問した。 「駐輪場からだよ。柵が低い箇所があってさぁ、越えればすぐに非常階段だ