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短編小説

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短編小説をまとめて。
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#短編

ニッポンてところは なかなかステキ (1)

『うちの敷地内で、怪獣が死んでいるんですけど』 【概要】  父親の唐突な思いつきで、アイ…

ニッポンてところは なかなかステキ (2)

          *  アイルランド暮らしのころ、ニッポンについての知識はほぼ皆無だっ…

ニッポンてところは なかなかステキ (3)

          * 「よく見れば可愛い顔をしているでしょう? 目なんかクリクリしてい…

おはよう、アカリ(1)

 チック、タック。  チック、タック。  頭頂を二度叩かれた目覚まし時計が、うつぶせになり…

おはよう、アカリ(2)

          *  あぁああ。  なぜわからなかった?  どうして気づけなかったんだ…

お別れの会を終えて (1)

『その探偵は、対象をひとめ見ただけで、犯人であるか否かを言いあてる』 【概要】  ロック…

お別れの会を終えて (2)

          *  へぇえ。そうなんだ?  そういうつもりだったんだ?  いいよ。別に。わかってたことだし。  当然覚悟はできてるのよね?  自分だけなにも失わずに終われるなんて、まさか思ってたりしないよね?  知ってるでしょ?  わたしのこと。  わたしがどういう女なのか、一番知ってるのはあなただもんね。           * 「鳥飼と、その同伴者の無礼な振る舞いをお詫びいたします」ややあってサービスヤードに登場し、登場するなり低頭平身して詫びてきた男性は課長

お別れの会を終えて (3)

          *  頭をあげて。  お願いだから、そんなことしないでよ。  みっとも…

お別れの会を終えて (4)

          *  電話をかけてきても、もうでないから。  メッセージに返信もしな…

古書堂の殺人 (1)

〝魂〟と呼ぶのが相応しいか。  それとも〝心〟であろうか。  かたちも、色も、質量すら有し…

古書堂の殺人 (3)

 乾燥した冷たい空気が流れこんできて、首筋を撫で、無防備な襟首(えりくび)から服の中へと…

古書堂の殺人 (4)

 古書堂前での禍々しい事件から一週間が経過した平日の午後、串間警部補は、百瀬奏多が借りて…

汚れた血 (1)

- Mauvais sang - 【概要】  消失した宇宙貨物船〈キャロ〉唯一の生存者、アガサ・ローナン…

リード

 レッド、  オレンジ、  クリーム、  ブラウン。  ランダムに配置された四色のレンガの中からブラウンを探し、見つけたら素早く、つま先でとらえる。  無事に踏めたら次のブラウン、また次のブラウン。  ……なんとなくはじめた無意味な行為だけど、やっているうちにだんだん楽しくなってきた。  ブラウンを探す。  ブラウンだけを踏む。  踏み外したり、探しだせなかったら負け。  負けといっても、だれかと勝負してるわけじゃないんだけど。  きっと、  たぶん、  二度と通ることはな